研究課題/領域番号 |
26240005
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
永田 真 神戸大学, その他の研究科, 教授 (40274138)
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研究分担者 |
三浦 典之 神戸大学, 学内共同利用施設等, 助教 (70650555)
本間 尚文 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (00343062)
林 優一 東北学院大学, 工学部, 准教授 (60551918)
崎山 一男 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80508838)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | サイドチャネル攻撃センサ / サイドチャネル攻撃無効化 / サイドチャネル攻撃耐性 / 電磁波セキュリティ / ハードウェアセキュリティ / 暗号モジュール / ICカード / 情報漏洩 |
研究実績の概要 |
本研究は、サイドチャネル攻撃への耐性を有し、高度に電磁波セキュリティを保証する暗号VLSI技術の確立を目指している。平成27年度の研究成果を以下にまとめる。 (1)サイドチャネル攻撃センシング手法の開発に関して、前年度に開発したセンサ基本回路を利用して、攻撃者が暗号VLSIに接近させるマイクロプローブの検知距離を0.5 mm程度まで延伸する(前年度に比べて5倍の遠距離に相当する)センサ信号処理法を考案し、プロトタイプシステムにより実証した。 (2)本センサを核とした電磁波セキュリティ対策技術に関して、センサ近傍の電磁界シミュレーション環境を構築した。センサの検知コイルと攻撃者のマイクロプローブの相対的な位置や形状に対する検知性能の応答について理論的な考察を進めるとともに、プロトタイプシステムに搭載されたテストチップの設計データを例題としてシミュレーションにより確認した。 (3)多様なサイドチャネル攻撃シナリオに対応した対策技術の開発に関して、暗号工学の立場から暗号コアに対する攻撃検出シナリオを一般化した。とりわけ、AES暗号コアを例題として、暗号コアそのものの存在や動作がサイドチャネル攻撃センシングには大きく影響しないことを明らかにした。さらに、暗号VLSIシステムのサイドチャネル漏洩を低減する電源回路の構成法やサイドチャネル情報を利用することでセキュリティ性能を向上する暗号利用法にも研究の進展が得られた。 いずれも、電磁波セキュリティを保証する暗号VLSI技術に関する最終年度のプロトタイプ実証に向けた基盤的な研究成果である。また、サイドチャネル攻撃シナリオに関して、暗号分野で世界的に権威のある学術論文誌*1に掲載決定した。(*1: Journal of Cryptology)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の核となるサイドチャネル攻撃センシング手法の開発において、研究計画の通り、センサ回路の初期プロトタイプ(初年度)を活用して、検知性能を向上する新規の信号処理法の考案と実証、検知性能を設計段階で予測する電磁界結合シミュレーション法の構築と実験との相関評価、検知に基づく無効化手段の検討、が順調に進んでいる。これらの当初計画に加えて、とりわけ多様なサイドチャネル攻撃シナリオへの対策と耐性の獲得手段に関して、暗号VLSIチップのサイドチャネル情報漏洩を防止する回路レベルの対策手法、あるいはサイドチャネル情報を積極的に用いることによるセキュリティ機能の発現など、多くの新しい知見が得られ、代表的な国際会議等で発表した。電磁波セキュリティを保証する暗号VLSI技術に関する最終年度の総合的な実証とまとめに向けて大きく前進した。
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今後の研究の推進方策 |
電磁波セキュリティを保証する暗号VLSI技術に関する最終年度の総合的な実証とまとめを行う。 (1)サイドチャネル攻撃センシング手法に関しては、検知性能を向上する改良型センサを具体化てプロトタイプ実証するとともに、センシング較正と攻撃無効化の連携について開発を進める。 (2)電磁波セキュリティ対策技術に関しては、センサの動作レベル記述による機能シミュレーションと電磁波解析を統合し、設計段階で暗号コアの安全性を評価する手法を開発する。 (3)多様なサイドチャネル攻撃シナリオに対応した対策技術に関しては、サイドチャネル攻撃センシングおよび攻撃無効化アルゴリズムの限界を理論的に考察する。また、これまでに見出した新規の対策技術をプロトタイプに統合し、その対策効果を評価する。
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