研究課題/領域番号 |
26240007
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鵜林 尚靖 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (80372762)
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研究分担者 |
亀井 靖高 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (10610222)
福田 晃 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (80165282)
久住 憲嗣 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10380685)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ソフトウエア開発効率化・ 安定化 / モデル駆動開発 / 不確かさ / インタフェース機構 |
研究実績の概要 |
ソフトウェア開発は「不確かさ」との闘いである。しかし、従来のソフトウェア工学は「不確かさ」を単に避けるべきものとし、技術的にきちんと扱って来なかった。本研究では「不確かさ」を包容する新たなソフトウェア工学の確立を狙う。「不確かさ」を取り込んだモデル駆動開発支援系、プログラミング言語処理系、検証系を提供する。言語理論や形式手法の中で「不確かさ」を扱えるようにすることにより、不確かさを含んだ設計モデルの整合性検証、設計とコードのトレーサビリティ検証、設計モデルからの「不確かさ」の着脱などが可能となる。具体的には、研究代表者が提唱するインタフェース機構Archfaceを発展させ、不確かさが存在しても要求分析・設計・実装が継続できるモデル駆動開発機構を提供する。
H27年度までに、課題1(不確かな要求分析・設計・実装の着脱支援)、課題2(不確かさを含む要求・設計モデルの整合性検証)、課題3(不確かさを考慮した要求・設計とコードのトレーサビリティ検証)、課題4(不確かさの着脱を考慮した設計モデルからのコード生成)、課題5(不確かさの影響分析)の5つの課題に取り組んだ。また、不確かさを包容する、設計、プログラミング、テストを支援する統合開発環境 iArch-U をEclipse上に実装した。H27年度は、モデル検査、単体テスト支援を新規機能として追加した。研究成果は、国際会議(ICSE 2015 ポスタートラック、ICSE 2015 ワークショップ MiSE、SANER2016ポスタートラック)、国内シンポジウム(FOSE 2015)、国内研究会(情報処理学会ソフトウェア工学研究会)などで発表した。ソフトウェア工学研究会(2016年3月)で発表した論文「LTSA連携による不確かさを包容した自動モデル検査」(発表者はB4学生)は2015年度の学生研究賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究および統合開発環境 iArch-Uの実装は順調に進んでいる。2016年度はiArch-Uの実装をさらに推し進め、年度内に正式に公開したいと考えている。また、電子情報通信学会ソフトウェアサイエンス研究会(2015年5月)および同知能ソフトウェア工学研究会(2016年3月)にて、本研究に関する招待講演を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究後期(H28-29)の研究課題である「要求仕様の不確かさを解消する支援機構」の開発に取り組むと共に、新たに実プロジェクトを対象とした実証分析にも研究対象を広げる計画である(一部はH27から着手)。
1) 不確かさの解消機構: Gitを用いて不確かさをマネジメントする(いつ、どのような理由で不確かさが生じたのかを、Archface-Uとコードの双方を履歴管理することにより把握する)機構を提供し、その一環として、不確かさの解消を支援する機構を実現する。具体的には、不確かさが生じた際にブランチを切り、解消時にそのブランチをマスターにマージする機構を開発する。
2) OSSを対象とした不確かさに関する実証分析: オープンソースソフトウェア(OSS)のコミットログやコードリポジトリをマイニングし、現実のプロジェクトでどのような不確かさが生じ、どう解決されたのかを分析する。また、本研究で開発した機構が、実プロジェクトの課題を本当に解決できるのかについて検証する。
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備考 |
POSLとは研究室の名前。Principles Of Software Languages の略。
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