研究課題/領域番号 |
26240013
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西尾 章治郎 大阪大学, その他部局等, 総長 (50135539)
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研究分担者 |
原 隆浩 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (20294043)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ビッグデータ分析・応用 / 参加型センシング / ソーシャルメディア / マイクロブログ / センサデータ収取・解析 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、スマートフォンなどモバイル端末の利用履歴やセンサデータおよびTwitterを始めとするマイクロブログなど「人」が生成する情報を有効活用して、新たなサービスを創出するための、データ収集・解析・管理・共有技術の研究開発を行う。平成28年度は、以下のように研究を推進した。 まず、(1)「センサデータの収集・解析・管理のための基盤技術」として、複数の情報源から発生する大規模データに対して多様な検索を実行する機構について研究開発を行った。特に、指定された大きさの領域内で、地理情報データがもつスコアの総数が最大となる位置を発見するMaxRS検索や、検索データの地理的な多様性を考慮したTop-k検索など、高度な検索について有効な手法を考案した。 次に、(2)「マイクロブログデータの収集・解析・管理のための基盤技術」として、ノイズの多い短文に含まれる複合語の重要性を正確に見積もるための指標を考案した。さらに、マイクロブログデータからトレンドなどを抽出する機構について、平成27年度を継続して研究開発を行った。また、マイクロブログデータの解析結果と手順を共有するためのプラットフォームについて研究開発を進めた。 (3)「ユーザの行動履歴データの収集・解析・管理のための基盤技術」として、平成27年度を継続し、ユーザの高レベルなコンテキスト(体調・気分、誰といるか、忙しいかなど)とアプリケーション利用の関連性を解析した。さらに、収集したコンテキストデータをライフログとして活用する機能について、効果の検証を行った。 これらの結果は、情報検索分野と地理情報システム分野、分散処理分野で世界最高峰の論文誌や国際会議に採択されるなど、非常に大きな成果を達成している。平成28年度の全体としては、論文誌7編、国際会議発表10件において成果を公表済もしくは公表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
全般として、研究開発は順調に進んでいる。今年度の計画範囲の内容は全て達成済みであり、さらに課題(1)と(2)(センサデータの収集・解析・管理およびマイクロブログデータの収集・解析・管理のための基盤技術)については、当初の計画以上に進展し、予定外の技術開発などにも着手することができた。論文誌や国際会議での研究成果の公表は、想定していたよりも質・量ともに上回っており、特に、情報検索、地理情報システムや分散処理の分野で世界的に最も権威のある論文誌や国際会議に複数の論文が採択されたのは、計画以上の顕著な成果である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降は、平成28年度までに研究開発した基盤技術について、拡張・改良を進めてより高度なものに発展させる。具体的には以下のように研究開発を進める。 1.平成28年度までの考案技術の拡張・改良 前年度の考案技術に対して、評価実験等の結果に基づいた問題点の抽出と解決方法の検討を行い、拡張・改良を施す。さらに、拡張・改良した技術は、詳細な評価実験等によって、有効性の検証および更なる拡張を行う。 2.共有基盤システムの構築 平成28年度の研究開発を継続し、上記の各種データに対する考案技術を統合し、多岐に亘る大規模データを効率的に収集・解析・管理・共有するためのセンサデータ共有基盤システムの構築を進める。このシステムでは、一般的なセンサデータの共有・検索の機構だけではなく、センサデータの解析結果(結果のデータおよび解析手順)の共有、および、マイクロブログデータの解析結果も社会センサデータとして共有するための機構を実現する。このような共有基盤システムでは、データ量が膨大となったり、検索のための計算コストが増大することが予想されるため、システムを構成するノード(データ所持者)間で効率的にデータ交換を行ったり、負荷分散を行うための機構の開発も行う。さらに、このようなシステムにおいて、所望のデータや社会センサを効率的に検索・管理する技術についても研究を推進する。 構築した共有基盤システムは、運用評価を行い、有効性の検証および問題点の抽出、システムの改良を行う。また、システムを公開し、一般ユーザからWeb等を経由してアクセス可能とすることで、システムの実用性を検証する。
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