研究課題/領域番号 |
26240015
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
藤代 一成 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00181347)
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研究分担者 |
清木 康 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (10169956)
茅 暁陽 山梨大学, 総合研究部, 教授 (20283195)
竹島 由里子 東京工科大学, メディア学部, 准教授 (20313398)
早瀬 敏幸 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30135313)
安達 登 山梨大学, 総合研究部, 教授 (60282125)
猩々 英紀 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (60284626)
豊浦 正広 山梨大学, 総合研究部, 助教 (80550780)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ビッグデータ分析・活用 / 可視化出自管理 / 計算法科学 |
研究実績の概要 |
研究2年目の今年度も,以下の3つの目標を設定し,計算法科学データ分析可視化環境を開発してきた.その成果を目標ごとに記述する. 【目標1】計算法科学オントロジーの定義:日本法医学会で認定されている解剖術式に準拠した鑑定データ・タスクに基づき,初年度に開発した計算法科学オントロジーの定義を実用向けに拡張した. 【目標2】計算法科学記述言語LMMLおよびその専用処理系の開発:初年度に開発したLMMLのオーサリング・ブラウジング環境を,目標1で拡張された計算法科学オントロジーに合わせる形でバージョンアップした. 【目標3】計算法科学分析可視化ツール群の整備:計算法科学特有の分析手法に合致した機能と性能を有する各種分析可視化ツールを開発した.【目標3a:個別3次元人体モデル自動生成ツール】では,解剖学的特徴点群に注目して,対象遺体を標準デジタル人体から変換する方式を検討し,不完全な特徴点群からでも対象遺体の表面を再構成することができるアルゴリズムを開発した.【目標3b:生体内外統合血流シミュレータ】では,循環器系の0次元解析モデルを拡張し,内外の出血を伴う生体内外血流の0次元シミュレーション手法を構築した.また,循環,出血,吸着,誘導の目的を担う粒子を導入した流血(粘性流)の実時間SPHシミュレーション手法を構築した.さらに薄膜と液状内容物との双方向連成を考慮した破裂現象のビジュアルシミュレーション手法を開発した.【目標3c:画像/映像マイニング・フィルタリング】では,輪郭線ベースの顔・人体動作補間手法を開発した.また,特徴偏差の対応付けによる事例ベースの似顔絵合成アルゴリズムを開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【目標1】および【目標2】については,本研究の中核的成果であるLMML言語ならびにその処理系に関して,調整金による追加配分により,最終年度に予定していた機能拡充も一部実施する等,当初の計画以上に進展していると考えられる.一方,【目標3】の計算法科学分析可視化ツール群については,上記のとおり個々のツール開発は進展しているものの,LMMLブラウザ上でのプラグインとしての実装の本格的な着手と連動可能性の実証は今後の課題として残されている.以上をまとめると,研究計画全体としては,概ね順調と評価される.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度も,以下の3つの目標にそって研究を推進し,計算法科学データ分析可視化環境開発の完了を目指す. 【目標1】計算法科学オントロジーの定義:損傷の記述の詳述化と登録・分析可視化タスクの拡充により,計算法科学オントロジーを実用段階にまで到達させる.具体的には,対象遺体の損傷記述の95%はカバーする範囲にまで記述能力を向上させる. 【目標2】計算法科学記述言語LMMLおよびその専用処理系の開発:LMMLのオーサリング・ブラウジング環境を,目標1で拡張された計算法科学オントロジーに合わせる形でさらにバージョンアップする.特に数学的意味モデルにより,マルチモーダルなコンテンツを含むLMMLファイルによって記述された個々の事案を定量的に意味付けし,透明化された導出機能を実現するための準備も実施する. 【目標3】計算法科学分析可視化ツール群の整備:計算法科学特有の分析手法に合致した機能と性能を有する各種分析可視化ツールを引き続き開発するとともに,LMML処理系との連動を実現する.【目標3a:個別3次元人体モデル自動生成ツール】では,対象遺体の解剖所見の効果的な入力と,標準デジタル人体モデルとの特徴マッチングにより,個人の人体と損傷の幾何学的記述機能を実現し,生成モデルデータをLMMLスクリプトに埋込み・加工可能にする.【目標3b:生体内外統合血流シミュレータ】では,開発済の基本シミュレータの性能を向上させるとともに,適用範囲もさらに拡充し,血流可視化機能とのリンクを試みる.【目標3c:画像/映像マイニング・フィルタリング】では,解剖中の映像コンテンツのオンライン取得・LMMLスクリプト自動化と類似検索機能を実現し,画像/映像抽象化フィルタリング機能との連携を図る.
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