研究課題/領域番号 |
26240016
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
佐藤 真一 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (90249938)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2017-03-31
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キーワード | 事物マイニング / 放送映像アーカイブ / 社会センシング基盤 |
研究実績の概要 |
本研究では、放送映像において特定の事物(人物、場所、商品、特定の資料映像等)の出現頻度やその時間展開等を解析することにより、社会におけるさまざまなイベント(景況、スポーツ等の祭典、災害、事件等)に関連する情報をセンシングする基盤技術について検討を行う。具体的には、大規模放送映像アーカイブから事物を自動検出・同定する事物マイニング技術と、放送映像空間における事物の分布の多面的な分析を可能とする社会センシング基盤技術について検討する。特に事物マイニングは挑戦的な課題であり、大局的整合性判定による高精度かつ飛躍的に高速な手法の実現を目指す。 2014年度は、映像における事物マイニングの実現のため、大域的時間整合性を判定しうる新たな情報表現として、Temporal Embedding特徴について検討を行った。より具体的には、映像を構成するすべてのフレーム画像の画像特徴量とその時間情報とをあわせて表現しうるtemporal matching kernel法と、それらを統合して映像に対する統合した特徴表現とするためのexplicit feature map法とを組み合わせ、映像の長さによらず、あらゆる映像について一定長の特徴表現としながら、映像同士の照合時には照合するセグメントの時間オフセットの存在にかかわらず照合可能であり、あわせてそのオフセットまで推定できる方法を考案した。本成果は論文に取りまとめ、現在投稿中である。また、ニュース映像を対象とし、ニューストピックにおけるマルチモーダルな関連性をmultiplex graphとし、それを可視化する手法について検討した。この他、映像中のイベントに基づく高精度識別技術、高精度事物検索技術等、広範な技術の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通り、事物マイニングに向けては映像のためのtemporal embedding特徴について検討し、社会センシング基盤に向けてはmultiplex graph表現に基づく可視化について検討を行った。また、これに加えて、映像中のイベントに基づく高精度識別技術、高精度事物検索技術等、広範な技術の検討を行っており、全般的に順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、事物マイニング技術と社会センシング基盤の両面について検討を進めていく。特に、2015年度は、2014年度開発したtemporal embedding特徴のさらなる検討と、そのマイニングへの応用、並びにその結果の可視化に向けてのmultiplex graph表現の可視化技術の拡張について検討を行う。なお、万が一temporal embedding表現に基づく事物マイニングが予想通りに進まなかった場合には、別途検討している超疎Bag of Visual Word表現並びにDeformable Part Model (DPM)を組み合わせた高精度事物検索技術を拡張した事物マイニング技術についての検討を行う予定である。
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