研究課題
本研究は大きく次のような流れになっている(1)サル高次視覚野の顔カラムの様々な視覚刺激に対する応答特性を記録し、(2)その応答特性から独自の特徴抽出法により顔カラムの符号化している図形特徴を決定する。(3)次に、これらの図形特徴を用いた心理学的実験からその妥当性を確かめ、(4)それらの図形特徴を分析することで、心理学的実験が示唆する「Holistic」な表現の実体を明らかにする。(5)図形特徴の性質から予想される認識行動を、ヒトを対象とする心理実験で確認する。この中で、本年度は(1)の刺激応答に対する記録を2頭のサルの高次視覚野から行った。そのうち、1頭からは顔領域から55サイトから、特徴抽出に十分であると考えられるおよそ2000個の刺激に対する応答を記録することができた。もう一頭からは、十分な広さの顔応答領域を同定することができなかったため、残念ながら、データとして利用できるサイトは数個しかなかった。現在、3頭目からの記録を進めている。また、(2)に関連して、これらの応答から、個々のサイトが符号化する図形特徴を抽出する手法の大枠を確立した。その手法の妥当性を評価する研究(3)をスタートしている。心理実験に先行して、抽出した特徴自体が記録したサイトを活動させるかを検討することにした。また、1頭目からの記録から、顔領域の中で顔の向きがどのようにマップされているかを明らかにすることができた。その結果、顔領域の中に、一揃いの向きの顔を表象している部分が複数あることが明らかになった。この結果は、顔領域が顔の異なる情報を表現している部分に分割できる可能性を示唆している。この結果について論文を準備中である。
2: おおむね順調に進展している
本年度の目標は、特徴抽出法を適用するためのデータを収集することにあり、それを実現した。生理学的実験は時間を要するので、引き続きデータの収集をする必要はあるが、当面必要なデータは確保している。
3頭目からの記録を進めるとともに、また、符号化する図形特徴を抽出する手法の妥当性を評価する研究をスタートしている。心理実験に先行して、抽出した特徴自体が記録したサイトを活動させるかも検討することにした。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件)
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 83 ページ: 093801,1-5
http://dx.doi.org/10.7566/JPSJ.83.093801
PLOS One
巻: 9 ページ: e115658, 1‐17
10.1371/journal.pone.0115658