研究課題/領域番号 |
26240021
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
谷藤 学 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (60197530)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 下側頭葉視覚連合野 / 視覚認識 |
研究実績の概要 |
本研究では(1)サル高次視覚野の顔カラムの様々な視覚刺激に対する応答特性を記録し、(2)その応答特性から、独自の特徴抽出法により顔カラムの符号化している図形特徴を決定する。次に、(3)心理学的実験の被験者の応答を、これらの図形特徴が説明しうるかを確かめ、(4)それらの図形特徴を分析することで、心理学的実験が示唆する「Holistic」な表現の実体を明らかにする。最後に、(5)検証実験として、「Holistic」な表現の実体から予想される認識行動を、ヒトを対象とした心理実験で確認する。(1)に関して一昨年度に記録手法を確立した。昨年度は、これを用いて、引き続きデータの収集に当たった。(2)の顔カラムが符号化する図形特徴を抽出する手法についてさらに検討を進め、論文として発表するべく準備を行った。また、図形特徴の抽出に膨大な時間(数か月)を要するという問題があった。昨年度は、アルゴリズムを見直し、これを10倍に高速化することに成功した。(3)の心理学的実験のためには、計算によって得られた図形特徴を被験者に提示できる形に変換しなければならない。得られた図形特徴は、網膜に映る視覚像にガボールフィルターと局所的な最大値検出(MAXオペレーション)を施したものだからである。この逆変換は不良設定問題になっているが、辞書学習のアルゴリズムを適用することで逆変換を可能にした。(3)及び(5)では、心理実験が大事な要素となっている。その枠組みを作り、次年度に向けて予備実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの収集は順調である。また、プログラムの高速化によって、仕事の一層の進展を図ることができるようになった。心理実験についてはまだ予備実験の段階にあるが、今のところ順調である。心理学的実験が示唆する「Holistic」な表現の実体を明らかにすること、ヒトの心理実験による検証に向けて良好な進行状況である。
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今後の研究の推進方策 |
収集されたデータを解析し、顔カラムが符号化している図形特徴の一般的な性質を明らかにすることが次のステップである。それらの図形特徴を分析することで、心理学的実験が示唆する「Holistic」な表現の実体を明らかにする。また、現在、予備実験の段階にある心理実験を確立し用いることで、図形特徴の性質から予想される認識行動を、ヒトを対象とした心理実験で確認する。
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