研究課題
物体像の認識に関わる高次の大脳皮質にある顔に応答するコラムに着目し、その物体像応答からコラムが符号化している特徴を探索する方法を確立した。具体的には、自然画像の中にコラムが符号化している図形特徴の良いモデルがあると仮定し、膨大な数の自然画像断片のそれぞれについて物体像応答を推定し、実際のコラムの応答の間でもっとも高い相関を持つものを探索した。応答の推定には、画像断片と物体像の間のユークリッド距離を用いた(但し、距離は、画素空間ではなく、局所的な方位と色の空間上で測る)。この方法によって、コラム応答と高い相関を持つ画像断片を見つけることに成功した。こうして得られた図形特徴モデルから推定される顔の向きに対する選択性はコラムの神経応答から得られた選択性とよく合致した(85%の顔コラムについて統計的有意な相関を示した(p<0.05)。得られた図形特徴を解析した結果、(1)脳の中で、顔のイメージは局所的な方位と色のパターン(図形特徴)の組み合わせによって表現されている、(2)図形特徴の中には、顔のパーツの空間的な配置(configuration)を検出しているものと、局所的な特徴に応じるものの2つのグループに分けられる、(3)顔のパーツは、いわゆる目、鼻、口、というような普通の意味の特徴ではなく、それらによって作られる部分的なコントラストの境界である、(4)また、局所的な特徴も部分的な境界である、特に、髪の生え際の一部分も局所的な特徴として符号化しているコラムがあるなどの新しい知見が得られた。また、これらのコラムを組み合わせることで、見え方、例えば顔の向き、に依存しない個人の顔の弁別が可能かどうかを検討し、実際、これらのコラムを組み回せることで、個人が識別できることを明らかにした。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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PlosOne
巻: 13 ページ: e0201192 1-27
10.1371/journal. pone.0201192