研究課題/領域番号 |
26240023
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
延原 章平 京都大学, 情報学研究科, 講師 (00423020)
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研究分担者 |
松山 隆司 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10109035)
川嶋 宏彰 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (40346101)
波部 斉 近畿大学, 理工学部, 講師 (80346072)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コンピュータビジョン / 3次元形状・運動復元 / 水中環境 / 光線空間 |
研究実績の概要 |
多視点映像を用いた水中物体の3次元形状・運動計測を実現するために,今年度は(A)水中光線空間のモデル化と形状計測,(B)半透明物体検出と3次元姿勢計測,(C)複数半透明物体の広範囲3次元運動計測,のそれぞれについて下記のような実績を得ることができた. (A)水中半透明物体による透過・散乱現象をモデル化し,多視点画像を用いてその3次元形状を推定する新たな手法を考案した.特に対象形状に関する事前知識として連続性制約を導入し,これを凸最適化問題として定式化することができること,また透明度と拡散成分を交互に最適化することで形状復元が達成されることを示した. (B)屈折情報に基づいた手法として,物体前後の光線分布の変化に着目した新たな手法についての検討を行った. (C)屈折過程を考慮した多視点水中カメラによる3次元物体追跡アルゴリズムを考案し,その基礎的な実装と検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画のとおり,(A)水中光線空間のモデル化と形状計測,(B)半透明物体検出と3次元姿勢計測,(C)複数半透明物体の広範囲3次元運動計測,の各グループそれぞれについて研究を進めることができた.すなわち (A)屈折層の形状が平面であるという制約を導入した上で,多視点カメラ・プロジェクタ群による水中光線空間のモデル化を達成し,また計測対象である半透明物体による光線空間への影響が,吸収(光の減衰)のみであるという制約のもとで形状計測を行うためのモデル構築ができた. (B)半透明物体の検出のみに焦点を絞り,特にLCDやプロジェクタなどを撮影背景として用いることで能動的に背景・照明を変化させ,光源環境の変化から予想される光線空間情報と,実際に観測される光線空間情報の差分を利用した半透明物体の検出を行うため,特に物体を光が透過することによる屈折による光線空間情報の変化についてのモデル化を行うことができた. (C)対象の半透明性を仮定せず,まずは水槽中の不透明対象物体の観測における屈折と映り込みの影響のみに焦点を絞って,頑健な3次元運動計測アルゴリズムの開発を行うことができた.すなわち水槽中の物体を撮影する際に避けがたい水槽壁面による全反射像(映り込み)と屈折の影響を,多視点画像から得られた計測結果を水中3次元空間で統合することによって排除することで頑健な運動計測を行うためのアルゴリズムを考案することができた.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画のとおり,(A)水中光線空間のモデル化と形状計測,(B)半透明物体検出と3次元姿勢計測,(C)複数半透明物体の広範囲3次元運動計測,の各グループそれぞれについて研究を進めることができているため,今年度も引き続き計画に沿って研究を進める.すなわち (A)平面屈折層に限定した場合の実証実験・評価を完了させるとともに,任意曲面の場合に関する基礎的な検討を開始する. (B)半透明物体の検出について,H26年度に考案したモデルについての実証・評価を進める. (C)水槽壁面による全反射像を逆に活用し,鏡映像が仮想的な別視点カメラによる撮影像であると考えて,より頑健な運動計測を実現する.
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