本研究では,3D モデリングのプロセスを単純な作業へと分割することで、Amazon Mechanical Turk をはじめとしたマイクロタスク型クラウドソーシングを用い,一枚の画像をもとに3D モデルを生成する手法を提案した.プロフェッショナルへのアウトソーシングとは異なり,マイクロタスク型クラウドソーシングではワーカー(労働者)に特定の技術が要求されないので,システムは膨大なワーカープールを活用することができ,多数のリクエストに対して短時間かつ一定品質で出力を与えることができる.また,既存の自動的な単一画像からの立体生成手法と異なり,人間の視覚認知機能を活用することで写真からイラストまで様々な種類の入力画像に対応することができる.クラウドワーカーは各々,入力画像に写った物体について,前・横・上いずれか一方向から見た場合どのように見えるかを想像し,ウェブブラウザ上のドローイングインタフェースを用いてスケッチを描いて投稿する.システムは多数の不完全なスケッチを幾何学的に統合することでクリンナップされた三面図を復元し,三面図から対応する立体形状を生成する.本研究では,スケッチの品質を段階的に向上させるための,ワーカー間での競争と協力の要素を組み合わせた反復的なワークフローも提案した.我々は,提案システムによって様々な種類の3D モデルを短時間のうちに生成することができることを示した.本研究の結果は,適切にタスクを分解することで,3D モデリングのような複雑かつ創造的な用途へのマイクロタスク型クラウドソーシングの活用可能性を示唆するものである.
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