研究課題/領域番号 |
26240036
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
山口 高平 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (20174617)
|
研究分担者 |
阿部 秀尚 文教大学, 情報学部, 講師 (00397853)
森田 武史 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (50590171)
稲田 周平 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (60327715)
大門 樹 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80306878)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 系列パターン評価指標 / Linked Data / ドライバー行動 / 自律的作業改善 |
研究実績の概要 |
テキストマイニングについては,系列パターン指標群の経時的変化と単語感情極性値の変化の時系列相関を分析することにより,感情極性値の変化と関連が強い語句評価指標を同定する手法を提案し,その有用性を示した.行政オープンデータを利用した地域活性化支援サービスについては,高速道路からの地域立寄り支援を目標にして、高速道路休憩施設、給油、駐車、天気などのデータをLinked Data化してインテリジェントサービスを開発し、愛知県東部から静岡県中西部の休憩施設で1か月間、実証実験を実施し、515ユーザがこのサービスを利用し、そのうち222ユーザが詳細情報を閲覧し、26ユーザが実際に立ち寄りを行った。自動車エコ運転支援サービスについては、人間生活工学研究センター等の運転行動データや道路交通データに対象に構築した運転行動分析手法に基づき,様々な道路環境や交通状況における高齢者,若年者,教習所指導員の運転操作・車両挙動等の特徴を抽出して,教習所指導員の運転行動を規範とした不安全行動の抽出や燃料消費の推定等を実施した.人型ロボットによる教育支援サービスについては、小学校5年生社会科単元「地球温暖化」を対象にし、オントロジーによる知識教示、身振り手振りの動作による生徒の興味関心の向上を目的にして、教諭と人型ロボットNAOの連携システムを開発し、横須賀市立鶴久保小学校5年生113名を対象にした実証実験を実施し、90%以上の生徒はこの授業に関心を持ち、授業をより深く学びたい意向を示したが、音声認識精度の課題が残った。動作分析理論を利用した組立作業改善サービスについては、双腕ロボットに組立作業を思いつくまま教示し、無駄な動作を発見して修正するサーブリック分析理論をシステム化したところ、約4分の作業が約2分に短縮され、その有用性を確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
系列DM/TMモジュールについては、系列パターン評価指標を利用した数値時系列パターンとの時系列相関分析を感情極性という全く異質の評価値との関連性を示し,行動系列パターンと感情変化との関連性を分析するうえで有効な知見を得ることができ、ほぼ80%程度達成できた。 行政オープンデータを利用した地域活性化支援サービスについては,様々なデータをLinked Data化し、高速道路上で社会実証実験を実施して、実評価が得られた事は大きく評価できるので、ほぼ100%達成できた。 自動車エコ運転支援サービスについては、過年度に開発した運転統合データベースに基づいて,運転手属性(年齢,運転スキル,運転スタイル等)による不安全行動と道路環境に応じた運転操作の違いを抽出し,不安全行動の特徴抽出と燃料消費の推定に関わる基本モデルの検討と開発を実施したので、ほぼ100%達成できた。 人型ロボットによる教育支援サービスについては、教諭ロボット連携システムを小学校5年生一斉授業で実際に実行させ、有用性と課題が明らかにできたので、ほぼ90%達成できた。 動作分析理論を利用した組立作業改善サービスについては、双腕の動きのムダを中心にロボットが自律的に作業改善を実施するためのシステムを構築し、評価を行ったが、積み木の組立という単純な課題であるので、ほぼ80%達成できた。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度までに、(a)行政オープンデータを利用した地域活性化支援サービス、(b)自動車エコ運転支援サービス、(c)人型ロボットによる教育支援サービス、(d)人型ロボットによる組立作業支援サービスという4種類のケーススタディにおいて、(a)(b)(c)の検討は既に実施した。今後、データマイニング(機械学習)の検討を進めながら、(d)の適用範囲を拡張し、(e)スマートグラスによる機器故障診断を新たなケーススタディとして実施し評価する。 (1) ロボットサービスに対応した適応的機械学習アルゴリズムの選定ツールの開発:ロボット筐体とタイムスタンプによって紐づけされた複合形式データに対して,系列パターンマイニング手法,および時系列クラスタリングによる特徴抽出,基本的な集計演算・基礎統計演算による特徴構築を実行する.その結果得られた構造化データに対して,精度の高い分類器を構築するため,機械学習アルゴリズムの仕様探索によるアルゴリズムおよびパラメータの選定を自動的に行う.以上の各処理をROSモジュール群として実装し,ロボットサービスに対応した適応的機械学習アルゴリズム選定ツールの開発を行う. (2) 人型ロボットによる組立作業支援サービス: ロボットが自律的に教示作業を効率化(改善)する基礎的システム(これまでの研究結果)をベースに,IEやAI等の理論を利用して,作業レイアウトや組立順序等にまで,改善の検討範囲を拡張したシステムの構築を図る。 (3)インテリジェント・スマートグラスによる機器故障診断作業支援: オントロジーに基づく質問応答機能とスマートグラスの統合により、インテリジェント・スマートグラスを実現し、機器故障診断作業支援において、どの程度有効に機能できるかを評価する。
|