研究課題/領域番号 |
26240043
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
中内 茂樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00252320)
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研究分担者 |
南 哲人 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 准教授 (70415842)
東 広志 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70734474)
北崎 充晃 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90292739)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脳波 / 視認性 / 瞳孔 / グレア錯視 / SSVEP |
研究実績の概要 |
本研究では、脳波を用いた新たな脳情報デコーディング手法として、多次元脳波データに埋め込まれた視覚刺激群の類似度情報を抽出する手法を構築するものである。本年度は、神経学的な手法から発光知覚に着目し、その脳内処理プロセスを解明することを目的として実験を行った。具体的には、明るさ知覚の変化のみで脳波成分(SSVEP)と瞳孔反応に反映されるかを調査した。物体が発光しているように感じるといった知覚をグレア錯視と呼ばれる明るさ感の増強・発光錯視を使用することで実現し、脳波と瞳孔反応と組み合わせた実験デザインによって低次と高次による処理を比較した。
グレア錯視を視覚刺激としたときの脳波計測の結果は、グレア錯視条件では全ての輝度コントラスト条件では同程度の知覚輝度増強が確認できたにも関わらず、SSVEP振幅は高コントラスト条件においてのみ有意に減少したグレア錯視は中央輝度を変化させることによって、知覚カテゴリが白から輝き(発光知覚)へと変化する(Tamura et al., 2016)。つまり、色表現モードの遷移が知覚コントラストの減少を生じさせSSVEPに影響した可能性がある。すなわち、発光知覚といった認知的な要素だけで得られたSSVEPは変調されたものであると考える。また、グレア錯視を見た時の瞳孔はSSVEPで差が見られた最も高い輝度条件でのみコントロールに比べて縮瞳していた。これは前述したような認知的な要素が最も高い輝度条件でのみ生じたといった仮説を支持するものである。瞳孔は明るさ感が増すことによって変化するのではなく、まぶしさや発光知覚といった認知的な要因に対し、より高次な皮質の影響を受けに変調されると考えられる。以上から、視覚野の低次で明るさの増強とは異なる神経経路での応答が高次皮質からのフィードバックを反映して変調されたことを示す重要な証拠となりうることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り、瞳孔径という新たな生理指標も導入して主観的感性情報の抽出を進めることが出来ており、それに伴う認知実験も同時に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、計画通り、画像理解度(画像内容判断)に関する課題に関するデータ収集を勧めていく予定である。
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