研究課題/領域番号 |
26240046
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上田 完次 東京大学, 人工物工学研究センター, 名誉教授 (50031133)
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研究分担者 |
延岡 健太郎 一橋大学, 商学研究科, 教授 (90263409)
竹中 毅 独立行政法人産業技術総合研究所, サービス工学研究センター, 主任研究員 (70396802)
西野 成昭 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90401299)
山田 和明 東洋大学, 理工学部, 講師 (80345149)
鬼頭 朋見 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50636107)
緒方 大樹 東京大学, 人工物工学研究センター, 助教 (80598037)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サービス工学 / 複雑ネットワーク / マルチエージェント / 経済実験 |
研究実績の概要 |
本年度は、本研究課題の根幹をなす価値創成ネットワークのシステムモデルの構築を行った。これまでに研究代表者らが提案してきている価値創成モデルは、提供者、受容者、製品/サービスの3主体間において形成される価値の構成の違いから記述されるモデルであるが、実社会ではそのような単なる3者の関係性にとどまらないため、複数主体のネットワークとして価値創成を考える必要がある。そこで、関連するステークホルダからならる1つの製品サービスシステム(Product Service System: PSS)を対象としたネットワークモデルとして表現する枠組みを構築した。ネットワーク上のノードがステークホルダで、エッジがクラスの関係性(各エッジがクラスIからIIIにそれぞれ対応した属性を持つ)として表現されている。これにより、価値創成モデルという概念を切り口に、ネットワークの構造としてPSSの価値構造を捉えることが可能となった。このシステムモデルの検証のために、幾つかの典型的な小売業を具体例として、このネットワークモデルを用いて実サービスを記述を行った。得られたネットワーク構造について、その妥当性を検証するため、実際の企業等にインタビュー等を行い、定性的ではあるがその有効性も示されている。このネットワークモデルの枠組みは、本研究課題を進める上での理論的基盤となるものであり、次年度以降の活動に繋がる基礎部分の構築ができたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に実施すべき内容として、研究計画では基礎となる価値創成ネットワークのシステムモデルの構築という目的設定をしていたが、設定された計画内容に従い、従来の三者の行動主体からなる価値創成モデルを、様々なステークホルダからなるネットワーク構成を有するモデルに拡張することに成功した。これは、次年度以降に進める基礎となるシステムモデルであり、今後の研究計画を遅れること無く進められることからも、概ね順調に進展していると評価できる。本成果の一部については、学会や招待講演等で報告している。
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今後の研究の推進方策 |
先述の通り、本研究課題は当初の予定通りに概ね順調に進展しており、次年度以降も研究計画に従って、進めていく予定である。特に次年度では、本年度に構築した価値創成ネットワークのシステムモデルの数理モデル化を目指す。今年度の構築したシステムモデルは、言わば概念モデルであり、最終的な目標として実社会への展開を進めることを考えている本研究課題では、数学的に表現可能な数理モデルの構築が必要不可欠である。研究計画でも記載しているとおり、基本的にはゲーム理論を軸とした表現系でモデルを定式化することを予定している。一方、数理モデル構築と平行して、実証分析のために、実ビジネスに関する調査を平行して進める予定である。
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備考 |
本研究課題に一部関連がある内容のインタビュー記事が掲載: 日経ビジネスONLINE インタビュー記事「欧米が“いまさら”ものづくりを自国内に取り戻そうとしている理由 国際生産工学アカデミー会長上田完次・東京大学名誉教授に聞く」http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20141104/273351/
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