研究課題
対流圏大気中には、30 ppb前後の濃度のオゾンが含まれている。成層圏オゾンは、濃度の減少が懸念されているが、対流圏オゾンは、温室効果ガスであると同時に、強力な酸化性物質として人間や生態系に直接有害な影響を与えるため、その濃度が増加することが問題になる。東アジア域における対流圏オゾンの濃度は、地域内の活発な経済成長を反映して今後顕著に増大するものと予測されており、これが農作物や陸上生態系などに対して甚大な損害をもたらす可能性もある。従って対流圏オゾンの生成過程(起源)や、対流圏内における挙動を正確に把握しておく必要がある。しかし、オゾンの濃度や、オゾンの関連物質の濃度だけを観測しても、これを実現するのは難しい。オゾンの安定同位体組成、特に三酸素同位体組成は有用な指標になるのは間違い無いが、オゾンは安定度が低く、これを質量分析計に直接導入して同位体測定を実現することは難しい。そこで本研究は、オゾンが亜硝酸イオンと速やかに反応して硝酸イオン化する性質を利用して、その安定同位体組成定量を実現することに挑戦した。本年度は、前年度に開発した、高精度かつ高感度のオゾンの三酸素同位体組成定量法に関して、本年度前半は前年度に引き続き、捕集効率や、吸引時間、未反応の亜硝酸イオン試薬の除去率、ブランク、国際標準スケールへの校正方法などの検討を行った。後半は新潟県と名古屋大学(愛知県)で試験観測を開始した。得られた試料は名古屋大学の角皆の研究室に輸送し、角皆および院生や研究支援員・補助員が分析を進めた。その結果、地域変化や季節変化が存在する可能性が確認出来た。また結果について、モデルとの整合性を考察した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Biogeosciences
巻: 13 ページ: 3441-3459
10.5194/bg-13-3441-2016
エアロゾル研究
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Paleoceanography
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