| 研究課題/領域番号 |
26241010
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| 研究機関 | 国立極地研究所 |
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研究代表者 |
金尾 政紀 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (40233845)
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| 研究分担者 |
坪井 誠司 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 部長 (90183871)
平松 良浩 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (80283092)
山本 真行 高知工科大学, システム工学群, 教授 (30368857)
岩田 貴樹 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (30418991)
長尾 大道 東京大学, 地震研究所, 准教授 (80435833)
石原 吉明 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究開発員 (80400232)
豊国 源知 東北大学, 理学研究科, 助教 (90626871)
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| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | 可聴下波動 / 南極域 / 多圏融合物理現象 / 微気圧変動 / 波浪脈動 / 氷河地震 / 波動伝播モデリング / 温暖化 |
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| 研究実績の概要 |
極域における可聴下周波数帯域の波動伝播特性による多圏システム間の物理相互作用解明に向けて、平成29年度は以下の内容を実施した。
氷河地震関連では、昭和基地の地震検知率の統計解析について、季節依存性と気温・海氷・風速データとの相関を重点的に継続して調べた（岩田、他）。また、南極・昭和基地で2013-2015年に記録された氷震微動の波形・周波数変動の特徴から、3グループに分類して季節変化と周辺環境、特に海氷変動との関連を調べた（平松、他）。さらにリュツォ・ホルム湾域の氷山・海氷・氷河変動に伴う高周波共鳴地震微動を衛星データと対比し、定着氷と氷山の衝突等、発生原因について考察した（Kanao, 2017; Kanao et al., 2017）。
広域解析では、昭和基地及び周辺域の微気圧計アレイデータから、各周波数帯の波動の到来方向推定を行い、リュツォ・ホルム湾の波浪や海氷を起源とするイベント検知を行った（Murayama et al., 2017）。特に2015年4月の海氷流出と音波源位置との明瞭な相関が得られた。また沿岸露岩域でのインフラサウンドおよび可聴音との比較から、氷河崩落に伴うイベント検出を行った（山本、石原、他）。
波動伝播モデリングでは、南大洋の脈動による微気圧擾乱の励起様式と、大気-海洋-固体地球間相互作用の、有限要素法による精密モデリングを継続した（松村、他）。またグリーンランド氷床観測点のノイズ相関解析により、地震表面波の速度変化を元に氷床下部の底面溶解や圧雪状態について、4年半の期間の経年及び季節変化を調べた (豊国、他）。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
時系列解析では、昭和基地の微気圧計の2008‐2016年の連続データのスペクトルから、脈動と微気圧擾乱の短時間変動、日周・季節変化、並びに長期間の経年変化が得られ、気象データと良い相関が得られた（Ishihara et al., 2017）。
氷河地震関連では、昭和基地の地震検知率の統計解析により季節依存性と気温・海氷との相関が詳細に調べられ、また検知地震数の長期変動についても検討された。さらに、南極の定常基地及び野外アレイデータにより、氷震イベントの同定と分類、震源位置の推定が行われた。東南極地域を中心に雪氷圏変動との関連について成果が得られつつある。
広域解析では昭和基地の微気圧変動データから、波浪や海氷変動の到来方向推定がアレイ解析で行われ、海氷流出イベントとの相関が得られた。リュツォ・ホルム湾域のインフラサウンドおよび可聴音の比較から氷河崩落に伴うイベント検出が行われた。また砕氷船「しらせ」船上の波浪起源の振動解析から、船体動揺による高度変化の影響について評価した（柿並、他）。さらに西南極テラノバ湾の韓国ジャンボゴ基地でのインフラサウンド観測のデータ解析を行い、同地域の波浪脈動の変動について考察した（Kanao, Park et al., 2017）。
波動伝播計算では、多圏間の物理相互作用メカニズム推定のため、大気-海洋のマルチスケール相互作用のモデリングが行われ、また氷床観測点のノイズ相関解析により、地震表面波の速度変化を元に氷床下部の底面溶解や圧雪状態について、経年及び季節変化が得られた（豊国、他）。また、ベイズ的手法によるS波速度構造推定方法を開発し、地殻浅部の2層構造を用いた数値実験による検証を行った（Cho and Iwata, 2018）。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成29年度までを継続し、最終年度として固体地球と大気・氷床・海洋との物理相互作用で生じる波動伝播現象解明のまとめを行う。昭和基地及び周辺域の微気圧データから、南大洋波浪による脈動の時系列解析、海氷消長に伴う地震動の活動度、等を総括する。また極域に特有な励起源を仮定した波動伝播特性のモデリングと多圏間相互作用についても成果をまとめる。
氷河地震では、気温・風向・風速・海氷分布との相関を調べ、地震検知率の時間変動の統計解析の成果をまとめる。また雪氷圏での破壊・衝突現象を起源とする氷震微動の時間空間変動を調べ、表層環境データとの関連を検討する。さらに昭和基地周辺でのアレイデータから、周辺の氷震の検知・到来方向・震源決定を継続して行う。
広域解析では、南極域の微気圧観測データから中規模・大規模のアレイ解析を行い、小アレイの結果と比較して解析空間スケールの最適化を行う。また砕氷船「しらせ」船上の南大洋波浪の解析結果をまとめ、船体の動揺による高度変化の影響を除去して波浪起源微気圧変動の緯度分布を推定する。
波動伝播計算では、大気-海洋-固体地球-雪氷圏の多圏間相互作用による伝搬様式を推定する。特に海岸等の境界条件の推定、データ同化手法導入により、観測データを再現するための現実的なモデルを構築する。また氷床観測点のノイズ相関解析による、氷床下部の底面溶解や圧雪状態の経年・季節変化についても成果をまとめる。
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