研究課題
① RNF8経路は、DNA2本鎖切断(DSB)修復において相同末端結合(NHEJ)促進に機能する分子53BP1をDNA損傷部位にリクルートするために不可欠な分子である。また、HRを促進するBRCA1が過剰に機能することを抑制している。これらの知見は、RNF8経路がNHEJ促進に機能することを示している。しかし、RNF8経路がBRCA1以下のHR機構に関与するかについては未知であった。RNF8によるHR制御の分子機構を解析するため、BRCA1/53BP1/RNF8のノックアウト細胞株を用い、研究を行った。PARP阻害剤によるDNA損傷を発生させたときのRAD51のDNA損傷への集積をリードアウトとした解析により、RNF8はBRCA1存在下ではRAD51リクルートに重要ではないものの、BRCA1陰性細胞ではRNAD51リクルートを促進することが示された。また、RNF8はBRCA1/53BP1ダブルノックアウト細胞のPARP1阻害剤抵抗性の原因となっていることも示された。このことから、RNF8経路はBRCA1非存在時のHRの促進因子として機能することが示された。② 新規に開発中のDSBを用いないゲノム編集法において、ゲノムがドナーDNAを取り込む過程を検証した。その結果、編集対象としたヌクレオチドから数百塩基にわたる領域において、ドナープラスミドに設計した修復鋳型がゲノムに取り込まれることが示された。さらに、このゲノム編集法を発展させ、DSBおよびドナーDNAを用いないゲノム編集法の開発に取り組み、効率は高くないものの、ゲノム編集が可能であることを示した。今後、この手法の改良に取り組み、従来法よりも安全性を飛躍的に高めたゲノム編集法を確立する。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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