研究課題
前年度においては、放射性セCsを含有する下水汚泥溶融飛灰1種とピペラジン系キレート剤で安定化処理した溶融飛灰2種を対象に、シュウ酸によるCs抽出とフェロシアン化鉄(プルシアンブルー、以下PB)生成によるrad-Cs共沈操作を行った。その結果、rad-Cs除去率は安定化処理後の飛灰抽出液では大きく低下し、キレート剤によるPBの凝集性低下等があることがわかった。より効率的な凝集剤を選定するために、有機高分子凝集剤23種について凝集効果の検討を行った。Cs安定同位体100μg/Lを予め添加した0.1M Na2SO4溶液中にフェロシアン化法で生成させた0.1mMのPBについて凝集沈殿試験を行ったところ、低分子量のカチオン系凝集剤(C-30)を5 mg/L投入(荷電中和)の後、アクリルアミド構造を含むアニオン性高分子凝集剤(AP517C)凝集剤を5mg/L投入(架橋)したときに最も良い成績であった。目視ではアニオン性のAP517C 投入により沈殿が粗大なフロックとなり急速に沈降した。このようなアクリルアミド構造を含む高分子凝集剤はアクリル酸エステル系に比べれば疎水的で、かつ水素結合しやすいことからPBの凝集沈殿に有効であった。一方、親水性のアクリル系カチオン性高分子凝集剤はPBの凝集沈殿に不適であった。放射性セシウム含む現場試験において、同様に高分子凝集剤の選定試験を行ったところ、ほぼ上記と同様な結果が得られたが、一部に効率が想定より低下する事例が見られ、共存成分の影響なども影響することがわかった。この4年間の種々の試験により、下水汚泥中の放射性セシウムはシュウ酸で抽出した後フェロシアン化法により難溶性のプルシアンブルーを生成させ、カチオン性高分子凝集剤により荷電中和後、アニオン性高分子凝集剤による架橋作用により凝集沈殿する方法が最適であることを見出した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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環境浄化技術
巻: 17(1) ページ: 67-77