研究課題/領域番号 |
26241029
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
酒井 敏 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (30144299)
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研究分担者 |
成田 健一 日本工業大学, 工学部, 教授 (20189210)
三坂 育正 日本工業大学, 工学部, 教授 (30416622)
本條 毅 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (60173655)
菅原 広史 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 准教授 (60531788)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヒートアイランド / クールアイランド / フラクタル日除け |
研究実績の概要 |
26年度は、日本工業大学のモデル都市実験施設COSMOにフラクタル日除けを設置した。設計および資材の調達はほぼ8月までに完了したが、この施設で行われていた他の実験計測と調整が必要になり、実際の工事は10月初旬から開始した。工事は12月中にほぼ完了した。その後、超音波風速計などの観測機器の取り付け及び機器の調整作業に入り、この作業もすでにほぼ終了している。 気温と湿度に関する予備観測は工事中から始めており、気温に関しては冬季にもかかわらず、日除けの外に対して午後の時間帯には1℃近い差が観測されている。この測定は自然通風型の温度計によるもので、さらに精密な観測が必要である。 高所作業車による観測テストも2月中旬に行い、高所作業車からの熱画像撮影などが可能なことを確認した。 さらに、当初の予定にはなかったが、広島工業大学の風洞実験装置を用いてフラクタル周りの流れの可視化を行うことになり、3月初旬に広島工業大学で予備実験を行った。その結果、有益な情報が得られそうなことが判明したため、27年度には研究計画に組み込むことにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
観測サイトで行われていた他の測定と調整が必要になり、工事の開始が予定より2か月ほど遅れたため、その後の作業も若干予定よりも遅れている。ただ、もともと26年度の冬季は、機器の調整を兼ねた観測の予定で、本格的な観測は当初より今年度の夏からを予定しており、想定内の遅れである。全体計画には全く支障がない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、本格的な観測測定に着手する。すでに超音波風速計、通風型温度計などの観測機器の設置調整はほぼ終わっており、5月から観測を開始する予定である。観測項目は、気温、湿度、風速、放射強度などで、それぞれ、オンサイトでの較正済みの機器を使用する。 また、夏季の天気の良い時期(7月末ごろ)に、高所作業車を使って日除けを含むサイト全体の熱画像を取得する予定である。ただし、日除け自体の温度を熱画像から求めるためには、仰角70度(夏の太陽のおよその仰角)の方向から撮像する必要があるが、高所作業車を使っても、それだけの高度からの撮像は困難である。したがって、厳密な議論は連続観測を行っている気温や風速などにより行うことにする。熱画像では定性的な議論しかできないが、全体を一目で把握できる効果は大きく、特に一般向けの解説には極めて効果的であるため、この熱画像取得はかなり優先度を高く考えている。 さらに、観測と平行して、今年度より新たに広島工業大学の風洞実験装置を使って、フラクタル周りの流れの様子を可視化し、フラクタル日除けが流れに対してどのような効果を持っているか確かめる実験を開始する。 これらの結果を踏まえ、秋季から冬季にかけて総合的な検討会を開き、様々な見地からの分析を行うと同時に、来年度の研究方針の検討を行う。
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