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2015 年度 実績報告書

フラクタル日除けによるパッシブな都市型クールアイランド創生実験

研究課題

研究課題/領域番号 26241029
研究機関京都大学

研究代表者

酒井 敏  京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (30144299)

研究分担者 成田 健一  日本工業大学, 工学部, 教授 (20189210)
三坂 育正  日本工業大学, 工学部, 教授 (30416622)
本條 毅  千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (60173655)
菅原 広史  防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 准教授 (60531788)
清田 誠良  広島工業大学, 工学部, 教授 (70169960)
仲吉 信人  東京理科大学, 理工学部, 講師 (90706475)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード環境技術 / ヒートアイランド / クールアイランド / フラクタル日除け
研究実績の概要

本研究の目的は、緑化などのように植物に頼らず、また、電気や水などの資源を使わず、フラクタル日除けを使うことで、都市そのものの特性を生かして、都市の中にクールアイランドが創れることを示すことである。
フラクタル日除けの設置は昨年度完了し、本年度は本格的な観測に入った。しかしながら、夏本番の8月後半から天候不順で、晴れの日のデータが少なく、また、9月には鬼怒川流域を襲った関東・東北豪雨により、機器が水没し欠測期間が生じた。
それでも、測定データの期間が若干短いものの、それぞれの季節での観測はできており、全体の傾向はつかめている。すべての季節において、日除けのないコンクリート区に対して、日除けの下は昼間の気温が1℃程度低くなることが確認された。これは、様々な誤差要因を考えても、確実に気温が低くなっているといえる差である。日除けの大きさは20m四方程度とそれほど大きくないことを考えると、かなり大きな差であり、当初の狙い通り、人工物だけでクールアイランドができることは間違いない。また、日除け下の気温の鉛直分布は晴れた日の日中には安定成層状態にあり、地表面に近いほど気温が低くなっている。これは、コンクリートが日中には冷源として働いて、空気の温度を下げていることを示している。
さらに、乱流熱輸送の測定から、フラクタル日除けは太陽からの熱をため込まず、即座に大気に放出しており、その特性は植物の熱特性とよく似ていることが明らかになった。この熱輸送の解析からも、コンクリートがフラクタル日除け下の空気を冷やしていることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度、測定機を設置し測定を始めたが、準備に若干手間取ったことと、8月後半が天候不順で晴天日のデータが少ないうえ、9月には鬼怒川流域を襲った関東・東北豪雨により、サイトが水没し測定機器が浸水して一時測定不能に陥った。そのため、昨年度に予定していたデータ取得が十分にできなかった。ただし、天気に左右される研究の性質上、この程度の事態はある程度想定して、当初計画から本年度を予備年として設定しており、本年度の測定により、目的は十分に達せられるものと考える。

今後の研究の推進方策

まず、本年は本計測期間と位置づけ昨年十分に取得できなかったデータを確実に取得することに全力を挙げる。
昨年度の計測から、フラクタル日除けの熱特性は、樹木の葉に極めて近いことが確認された。また、フラクタル日除け下では当初の予想通り、コンクリートが冷源として機能しており、昼間でも安定成層状態にあることが確認されている。昨年度は気温などの測定を通常の気温計測の慣例にしたがって高さ1.5mで行っていたが、このサイトが「都市模型」であり、本研究で実証したい環境改善効果は人が生活する都市キャノピーの下部であることを考慮して、今年度はより低い高度での測定を行う予定である。
さらに、本年度とは独立に行っている森林内の水蒸気量の日変化の観測から、森林内の環境形成に樹木の葉からの蒸発よりも、土壌からの蒸発が大きく寄与しているらしいことがわかってきた。そこで、フラクタル日除け下に保水性素材を敷設し、雨水を保水することで、樹冠の葉としてのフラクタル日除けに加えて、土壌の機能も付け加えて森林に近い環境ができないか、検討をする。

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公開日: 2017-01-06  

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