研究課題/領域番号 |
26242004
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
石井クンツ 昌子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (70432036)
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研究分担者 |
牧野 カツコ お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 名誉教授 (70008035)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 育児 / IT社会 / 父親 / 母親 / 国際比較 / 世代間関係 / 友人関係 |
研究実績の概要 |
平成26年度の主な研究目的は次年度以降に実施する質問紙調査「IT社会の育児と家族・友人関係について」への準備をすることであった。この目標を達成するために、具体的には、①国際比較の準備のために、研究協力者を日本、米国、スウェーデン、韓国の各班に分けて、各国のITの活用状況と育児期の親に関する先行文献と研究のレビューをした。また、最新IT機器やそれらの活用に関する知識を得るために、最新IT班も作り、特に日本におけるITとSNS活用の現状に関する先行文献をレビューした。これらの文献研究から得た知見を共有するために、月一回ベースで研究会を実施した。また、これらの知見から各国で質問票調査をする際の留意事項をプロジェクトグループ全員で確認した。②平成27年度開始の調査で使用する調査票作成のために必要な知見を得る目的として、韓国と日本において、IT機器やソーシャルメディアを頻繁に使っている育児期の父親と母親を対象としたグループインタビューをプレ調査として実施した。グループインタビューの質問項目は研究会で検討・決定したものを使用した。日韓において、父親と母親各5~6名から成るグループ(計21名)であり、IT機器とSNSの活用状況、親子・夫婦・世代間関係への影響について詳細に語ってもらった。③米国、スウェーデン、韓国の専門家へのヒアリングを行った。米国では、数名の育児期の父親と母親へのデプスインタビューも実施することができた。 上記①~③を通して、調査枠組みを作成し、量的調査のサンプリングの検討を行った。更に、調査票の質問・回答項目のドラフトを作成することができた。 本研究プロジェクトは初年度を終えたばかりではあるが、プロジェクトメンバーは、本年度の研究から得た知見を含んだ研究報告を世界社会学会、日本家族社会学会、日本家政学会家族関係部会等の大会で行い、広くアドバイスを受けることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度の研究計画はIT社会と育児期の親に関する先行文献レビュー、専門家へのヒアリング、プレ調査を実施して、平成27年度に開始する質問紙調査の準備をすることであり、これらの当初の目的は全て達成している。当初の計画以上に進展している理由としては、第一に、各班(日本班、米国班、スウェーデン班、韓国班、最新IT班)に分けて、研究協力者が先行文献をまとめたが、予想以上の多くの文献を詳細にレビューできたことである。第二に、プレ調査は当初、日本のみでの実施を予定していたが、平成27年度の量的調査は日本と韓国において行うために、韓国におけるプレ調査も必要と判断し、その結果実施できたことである。これらのグループインタビューから、日韓において父親と母親グループの子育てにおけるIT機器とSNS活用の性別及び国別の類似点や相違点を確認できたことは大きな収穫であり、平成27年度の質問紙調査を実施する上での貴重な示唆が得られた。第三に、本研究プロジェクトは代表者のこれまでの科学研究費補助金基盤研究(B)と(C)の結果を踏まえた調査であるために、過去に蓄積したデータと本プロジェクトの初年度から得たデータを交えた発信が世界社会学会という国際的な場と日本家族社会学会、家族関係部会などの国内外の重要な学会大会においてできたことである。 以上の順調な進捗状況と成果発信から、本研究は当初の計画以上に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度には、IT機器及びSNS活用と家族・友人関係に関するウェブ調査を日本と韓国において実施するのが主な目的である。具体的には以下のように研究を推進する。 (1)調査票案とサンプリングフレームを作成して、特にウェブ調査についてのアドバイスを得るために専門家へのヒアリングを実施する。その後、研究会にて検討して、ウェブ調査で使用する最終的なサンプリングフレームと調査票を決定する。「IT社会の育児と家族・友人関係について」のウェブ調査を日本と韓国において実施する。この調査から得たデータの分析を様々な角度から統計手法を用いて進める。 (2)日本と韓国のデータ分析結果を研究報告として、日本家族社会学会大会、日本家政学会家族関係部会セミナー、世界家政学会大会(於韓国)、国際シンポジウム等で発信する。また、本調査結果を広く社会に発信することを目的として、本プロジェクトのHPを立ち上げて、随時、研究結果をアップデートしていく。このHP上には、学術的な発信だけに限定せずに、分析から得た示唆を基にした政策・実践・教育的な内容も盛り込む予定である。 (3)平成28年度のアメリカとスウェーデンのウェブ調査へ向けての準備をする。具体的には日韓で使用した調査票の見直し、サンプリングフレームの再検討等である。
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