研究課題
味物質シグナリングの事象を①末梢受容の解析、②中枢認知の解析、③末梢受容と中枢認知の連動性の解析に類型化して実施した。平成28年度は、転写因子Skn-1が味蕾の甘・苦・うま味細胞だけでなく、小腸刷子細胞の運命決定にも必須であることから、Skn-1 KOマウス(S-KO)の消化管刷子細胞は欠損していた。通常飼育条件下においてはS-KOの摂食量はWTマウス(WT)と同等であった。しかしS-KOは同腹仔のWTに比べ、体脂肪率の低下を伴う顕著な低体重を示した。その原因について検討を行ったところ、運動量には遺伝子型の違いによる差はなく、呼吸交換比の低下、エネルギー消費量の上昇、血清中ケトン体の上昇等が観察され、S-KOにおいて脂肪分解が亢進している可能性が示唆された。高脂肪食投与では脂質吸収量に差はないが、16週齢時点でWT(約40g)に比べ、S-KO(約30g)は肥満の発症が大幅に抑制された。また心拍数、直腸温に変化はないが、血圧低下、腓腹筋ミトコンドリアコピー数の増加などの表現型が観察された。以上の結果より、S-KOにおいて恒常的に脂質分解が亢進し、産生されたケトン体が筋肉のミトコンドリアで消費される経路の存在が示唆された。また、経口グルコース負荷試験(OGTT)において、WTに比べS-KOの血糖値に変化はないが、インスリン分泌量は有意に低値を示した。脳から脂質代謝を調節する因子である血清中甲状腺ホルモンには変化が見られなかったが、尿中カテコールアミンの排泄量がS-KOで有意に増加した。低体重の原因として、カテコールアミン分泌の促進を介する脂質分解の誘導が生じると推定した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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