研究課題/領域番号 |
26242013
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
山田 恒夫 放送大学, 教養学部, 教授 (70182540)
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研究分担者 |
梶田 将司 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (30273296)
山地 一禎 国立情報学研究所, 学術認証推進室, 准教授 (50373379)
小川 寿美子 名桜大学, 健康科学部, 教授 (20244303)
小林 亜樹 工学院大学, 工学部, 准教授 (30323801)
仲林 清 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (20462765)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | MOC / オンラインコース / 学習解析 / 学習コミュニティ / リポジトリ連携 / 学習ログ / 国際標準化 / eラーニング |
研究実績の概要 |
5つのサブグループごとに研究を推進した。「大規模オンラインコース(MOC) プラットフォームと地域対応化」研究グループでは、他の調査研究(国内1件、国際2件)と連携して、国内外の先行研究・事例、特にアジアにおける大規模公開オンラインコース(MOOC)に対するニーズや将来構想について調査した。他のサブグループとも関係するが、IMS-GLC、EDUPUBなど国際標準化団体と意見交換し、MOCの要素技術に関する国際標準化の最新動向に関して情報を収集した。APIを利用したプラットフォームのマッシュアップについて、放送大学MOOCを使用して検証を進め、その成果はアジア公開大学連合年次大会で優秀論文賞を得た。「学習データベース・学習解析」研究グループでは、学習解析のための2つの標準(experienceAPIとIMS Caliper)の比較検討を行い、学習ログ(レコード)ストアの設計に着手した。「素材リポジトリ連携」研究グループでは、コースの完成品(コースウエアやコースパック)ばかりでなくその素材レベルでの共有流通を図るという観点から、メタデータレファラトリGlobereferatory@Japan(国立情報学研究所WEKOデータベースを利用した横断検索システム)の高度化を行うとともに、マレーシア、香港、スリランカで研修を行い、海外にそのコミュニティを拡大、国際的な予備実験のための準備を行った。「MOOC 質保証」研究グループでは、MOOCに焦点を当て、「コース認証」の可能性や、バッジシステムや単位互換制度における、システム的・制度的制約条件を検討した。「生涯学習のためのグローバルコミュニティ」研究グループでは、サイバー空間での自律的な学習コミュニティ活動の推進という観点から、国際ボランティア学およびその隣接領域に焦点をあて、ニーズや優れた実践例の収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本分野(eLearningによる教育改革・学習改善)におけるフロンティアを開拓しようとする研究であり、大局的観点を見失わずトレンドと乖離しないよう配慮して研究を進めているが、第1年度は適切な位置を占めながら、大方の研究が達成できたものと思われる。調査研究にとどまらず、具体的なサブシステムの設計や開発に着手できた。たとえば、研究で使用した放送大学MOOCプラットフォームは、電子教科書、学習管理ソフト(LMS)、複数のSNSをマッシュアップしたもので、その基本概念・アーキテクチャーが時代を先取りしたことは海外学協会における受賞でも示された。第2年度も海外の最新動向を把握するため調査研究も実施するが、さまざまなサブシステムからもたらされるデータを学習ログ(レコード)ストアに蓄積し、さらに解析することで、Personalizationの実現に向けた要素技術と知識ベースの構築を図る。一方、第1年度の研究の中で、パーソナルデータの取り扱い、プライバシーポリシーの合意が大きな課題となっており、この問題は本研究課題だけで解決されるものではないが、所属機関や学協会での検討をお願いしている。グローバルコミュニティにおけるコンテンツ共有と社会的相互作用の分析も重要な課題であり、国際ボランティア学以外の分野(農業分野)もくわえて研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
申請時、本研究の目的として、これまで学習コンテンツ開発流通・共有再利用の研究成果を基礎に、生涯学習基盤としての大規模オンラインコース(MOC)の可能性に着目し、その構築と運用に関わる諸問題を分析し、MOC システムの構成要件、持続可能なビジネスモデル、学習コミュニティの振る舞いを検証するとした。第1年度を終えて、国内外の状況は概ね本研究の予想通りに推移していると考えられる。途上国も含め、多様な学習プラットフォームが出現・共存し、Personalizationをキーワードに、学習オブジェクト共有再利用システム(素材リポジトリなど)・学習過程分析システム(学習ログストアや学習解析ツールなど)・学習成果管理システム(e-Portfolio、プライバシー管理保持システム、バッジシステムなど)が連関し、学習・教育情報基盤システムの高度な連携とその国際標準化が図られようとしている。こうした状況は、まさに本研究が取り上げたテーマそのものである。第2年度は、いくつかの国際標準化の動向にも注視しながら、アジアを中心に複数のパイロットシステムを構築し、海外(特にアジア)との連携を視野に入れた実証実験を進めていくことにしたい。
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