研究課題/領域番号 |
26242027
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
水野 眞治 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (90174036)
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研究分担者 |
中田 和秀 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (00312984)
北原 知就 東京工業大学, 社会理工学研究科, 助教 (10551260)
松井 知己 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (30270888)
後藤 順哉 中央大学, 理工学部, 准教授 (40334031)
高野 祐一 専修大学, ネットワーク情報学部, 講師 (40602959)
水谷 友彦 東京工業大学, 社会理工学研究科, 特任准教授 (00553984)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | OR / 最適化 / 錐計画問題 |
研究実績の概要 |
本年度は、(1)意思決定問題の整理とモデル化、(2)対称錐計画問題を解くアルゴリズムの開発と実装、および(3)シンポジウムの開催を行った。それぞれの詳細は、以下の通りである。 (1)意思決定問題の整理とモデル化:研究代表者、研究分担者は国内外の学会に出席することや、専門誌のサーベイを通じて、現実の意思決定問題のモデル化に関する幅広い事例を調査・分析した。後藤は、任意の二つの乗る無の近さの概念を導入し、最適化問題への応用を追究した。高野は、非凸型の取引コストを考慮したCVaR最小化ポートフォリオ選択問題に対して、切除平面法に基づく解法を提案した。小島は、2次不等式制約条件の下で2次目的関数を最小化する最適化問題に関する有効な数値解法を提案した。水谷は、分離可能性を仮定した下での非負行列分解に対して体積最小閉包楕円に基づいたアルゴリズムを提案し、そのノイズ頑強性を理論的、実験的に評価した。 (2)対称錐整数計画問題を解くアルゴリズムの開発と実装(主に水野・松井・中田・北原):水野と北原は、0-1多面体における単体法の理論的性質を解析した。松井は、頂点彩色問題に対する有力な定式化を提案した。行列近似問題に対する高速な逐次射影法を提案した。 (3)シンポジウムの開催: 平成26年9月に、東京工業大学で研究課題に関するシンポジウムを開催した。シンポジウムでは、国内外の一流の研究者の研究発表が行われた。多くの参加者を得ることができ、研究課題に対して活発な議論が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的:本研究では、複雑で大規模な問題を扱う枠組みとして、新時代の最適化モデルである対称錐整数計画問題を主な研究対象とする。その問題を効率よく解くアルゴリズムの研究と実装のみならず、現実問題をモデリングする技術や使いやすいユーザーインターフェースまで含めた統一的視点から最適化技術を見直し発展させていく。それにより、実務家等が広く最適化技術を利用できる意思決定支援プラットフォームを構築することを目的とする。 達成度の評価:平成26年度は、研究実績に記したように、現実問題のモデル化の研究、また、対称錐整数計画問題を効率的に説くアルゴリズムの研究をバランスよく行い、研究成果を上げることができた。このことから、本年度の研究は、研究目的に照らして、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度:平成26年度に実施した研究を継続・発展させ、意思決定問題の整理とモデル化を後藤・水谷・小島が担当し、アルゴリズムの開発と実装を水野・松井が担当する。中田・高野・北原は、意思決定支援プラットフォームの開発準備と最適化モデリング言語の調査と基礎研究に着手する。 平成28年度以降:モデル化とアルゴリズム開発の2班が協働し、モデルの特徴を生かした効率の良いアルゴリズムの開発を行い、開発したアルゴリズムの収束性などの理論的な性質について研究する。プラットフォーム班は、モデリング言語の開発と使いやすいインターフェースの研究に取り組む。段階的にインターネットを通じて一般ユーザーに最適化モデリング言語を配布することを開始し、一般ユーザーからのフィードバックに基づいて改良を重ねるとともに、プラットフォームの初期バージョンを作成する。その後、意思決定支援プラットフォームを完成させ、その全体像を広く国内外に公開する。
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