研究課題
本研究では、我々が先駆的に開発を進めてきたアデノウイルス(Ad)ベクター改変技術やマイクロRNA(miRNA)による遺伝子発現制御技術を駆使して、遺伝子治療やワクチン、癌の診断等に利用可能な革新的な組換えAdの開発とその応用を進めている。H28年度は以下の成果を得た。1.テトラサイクリンの遺伝子発現制御系(Tet-Offシステム)を用いて作製したCas9発現AdベクターとgRNA発現Adベクターを培養細胞に共作用させたところ、標的ゲノム配列の15~30%が切断され、さらにAdベクターをマウスへ尾静脈内投与してマウス肝臓でのゲノム編集効率を検討したところ、約20%のマウス肝細胞のターゲット遺伝子で変異が生じていることをシークエンス解析等で確認した。従って、CRISPR/Cas9システム搭載Adベクターは、高効率なゲノム編集に向けて有用な基盤技術となりうることが示唆された。2.Adベクターのワクチン効果向上を目指し、Adベクター投与後の獲得免疫応答誘導メカニズムについて、自然免疫活性化の観点から種々の検討を行った。その結果、Adベクター投与後のTh17誘導に、炎症性樹状細胞が関与している可能性を明らかにした。さらに、Adベクター投与後の所属リンパ節における炎症性樹状細胞の増加がType I IFNシグナル依存的であることも明らかにした。3.本研究で新規に開発したCTC(Circulating Tumor Cells;血中循環腫瘍細胞)検出用Adのひとつの問題点として、従来のCTC検出用Adと比べ若干GFP発現強度が低く、生物学的タイター/物理学的タイターが低い傾向にあった。そこで、GFPカセットの位置等を変更した組換えAdを作製し、上記問題の克服が可能か否かを検討した。その結果、GFPカセットをE1領域に挿入することでGFP発現強度の増強が可能になった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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