研究実績の概要 |
【研究目的】ヒトのリンパ節の大きさ(短径10mm)までリンパ節が自然に腫脹するリンパ節腫脹マウスMXH10/Mo-lpr/lprを使用して, 微小転移期にある短径10mm以下の転移リンパ節を対象に, (1) 超音波/CT高感度診断システムと(2) ナノ・マイクロバブルと超音波を用いたリンパ行性薬剤送達法を開発し, 超早期リンパ節転移診断・治療システムに展開することを目的とする. 【研究成果】(1) 超音波/CT高感度診断システムの開発において, マウスの尻尾をマイクロX線CT像で解析し, これを正解データとして時間・空間解析法に基づいた高感度な造影超音波画像解析アルゴリズムを作成した. (2) ナノ・マイクロバブルと超音波を用いたリンパ行性薬剤送達法の開発において, ナノ・マイクロバブルと蛍光分子からなる溶液を上流側リンパ節に注射し, リンパ管を介して下流側リンパ節に送達させ、下流側リンパ節に超音波を照射することで下流側リンパ節の内部の血球細胞に蛍光分子を導入することに成功した. 【意義、重要性】以下の点において本成果の意義・重要性があった. (1) 時間・空間解析法を基本とした超音波解析手法を開発したことで, 従来のフレーム間の差分に基づく解析手法よりも高精度な血管描出が可能になった. (2) 転移リンパ節の治療において従来化学療法が使用されてきたが, 転移リンパ節への選択制が低く,全身の副作用の惹起が指摘されてきた. 本成果は転移リンパ節への選択的で高濃度の薬剤送達をおこなうことで転移リンパ節の治療法の開発の可能性のみならず、将来のがん免疫療法の開発の可能性を示唆するものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では, ヒトのリンパ節の大きさ(短径10mm)までリンパ節が自然に腫脹するリンパ節腫脹マウスを使用して, 微小転移期にある短径10mm以下の転移リンパ節を対象に, 超音波/CT高感度診断システムとナノ・マイクロバブルと超音波を用いたリンパ行性薬剤送達法を開発し, 超早期リンパ節転移診断・治療システムに展開することを目的としている. 本年度は以下の成果を得た. 1)超音波/CT高感度診断システムの開発に成功した. 精度評価により従来の造影超音波手法よりも高感度な診断システムが達成されたことが示された. 2)リンパ行性薬剤送達法の開発をおこない, 外来分子の選択的な薬剤送達を実現した.
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