研究課題/領域番号 |
26242054
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
米山 猛 金沢大学, 機械工学系, 教授 (30175020)
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研究分担者 |
林 裕 金沢大学, 医学系, 准教授 (90262568)
中田 光俊 金沢大学, 医学系, 教授 (20334774)
渡辺 哲陽 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (80363125)
香川 博之 金沢大学, 機械工学系, 講師 (40251938)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医療・福祉 / 人間医工学 / 医用システム / 画像診断 / 脳腫瘍 |
研究実績の概要 |
本研究は,正常脳との境界の判別が難しい浸潤性脳腫瘍について,術中に共焦点顕微鏡を用いて,細胞レベルで判別し,腫瘍摘出率100%をめざすものである. (1)腫瘍部における微細蛍光現象の解明:脳腫瘍摘出手術で採取した腫瘍部,境界部,その周りの正常部に対して,波長405nmのレーザ光を照射し,波長635nmのみを通すフィルタを用いた共焦点顕微鏡で観察した.同じ箇所をH&E染色を行った光学顕微鏡画像と重ね合わせ,細胞のどの部分が蛍光を示すかを検討した.その結果,腫瘍では,細胞内だけでなく,細胞外にわたって一様に蛍光が生じていること,細胞核の内部や血管壁では蛍光は生じないこと,全体として細胞密度の高いところと蛍光強度の高いところは対応していることが分かった. (2)浸潤領域における蛍光現象の解明:浸潤領域と正常部とを判別する方法として二つの方法を考案した.一つは,観察した画像における蛍光強度分布とダーク(何もない場合)の蛍光強度分布とから,ダークよりも明るい確率(R値)を求め、その値で正常部と浸潤領域の判別を行うものである.観察した4つの例で,このR値で正常部と浸潤領域の区別ができることが分かった.もう一つの方法は,輝点の大きさと数についてのヒストグラムを比較する方法である.浸潤領域と背正常部とでは、この分布が大きく異なることを見出した. (3)共焦点顕微鏡を用いた3次元観察:対物レンズをZ軸に駆動することにより,3次元画像を作成して,腫瘍部と正常部の比較を行った.2次元画像で正常部に見られる輝点は,3次元画像においても空間に浮かんだ輝点として観察された.2次元画像で全体に雲のように輝く蛍光は,3次元画像においても全体に輝く蛍光であることを確認した.この観察方法により,薄片の観察試料を作成しなくても直に細胞を観察できる可能性を見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画にそって微細蛍光現象の解明を進め,脳腫瘍の浸潤領域と正常領域を判別する方法を明らかにしている. 術中への適用をめざして,スティック型対物レンズの適用を計画しているが,まず第1ステップとして,顕微鏡ステージを用いない直接観察として,3次元画像観察に取り組み,ステージ上の試料の観察と同様のことが行えることを見出したので,術中への適用を目指して、おおむね順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
3次元観察をさらに進め,薄片試料を作らずに,組織を直に観察して,判別できることを確認していく. 次に光線力学治療の前後における治療効果の確認がこの観察を通して行えることを確認する. さらに共焦点顕微鏡観察で腫瘍と判別した領域に光線力学治療を行って,その領域を 治療した効果をもう一度共焦点顕微鏡で評価する研究へと進める予定である.
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