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2016 年度 実績報告書

脊髄損傷後の随意機能回復を最大化する新たなニューロリハビリテーション戦略

研究課題

研究課題/領域番号 26242056
研究機関東京大学

研究代表者

中澤 公孝  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90360677)

研究分担者 緒方 徹  国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 障害者健康増進・運動医科学センター, センター長 (00392192)
西村 幸男  京都大学, 医学研究科, 准教授 (20390693)
河島 則天  国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所運動機能障害部, 研究室長 (30392195)
柴田 智広  九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (40359873)
柳原 大  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (90252725)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードニューロリハビリテーション / 歩行 / 脊髄損傷
研究実績の概要

本研究の最終目的は、現在の歩行リハビリの限界を超え、臨床的完全対麻痺者の随意歩行再獲得につながる新しいニューロリハビリテーションを創出することである。これを達成するために、1)脊髄歩行神経回路の活性化、2)高次中枢参画の最大化、および3)訓練者の能力に応じてステッピングと前方移動のアシストを適応的に変調するロボットの利用、を組み合わせた新たなリハビリ戦略の有効性を科学的に検証する。本年度は、1)の脊髄歩行神経回路活性化に関して、これまで進めてきた歩行中の脊髄機能マップを用いた脊損者での評価と静磁場刺激を用いた脊髄神経回路への介入法を検討し、脊損者での脊髄機能マップを作成することに成功するとともに、静磁場刺激が脊髄神経回路の興奮性を変調することを確認することができた。静磁場刺激は安全であり、今後痙縮等を有する不全脊損者での使用可能性が広がった。2)に関しては経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を用いてモチベーションを高める方法を検討するとともに磁気刺激を用いる新たな方法の検討も始めた。tDCSに関しては、さらに被験者数を増やすなどして検証を続ける必要がある。3)に関してはロボットの不具合が長引いたもののようやくステッピングと前方移動を実施可能な装置がほぼ完成した。今年度は既存のロボット型歩行トレーニング装置を用いてステッピングが脊髄興奮性におよぼす影響や脊髄機能マップの変化などを検討した。未だデータ数が少ないので次年度さらに実験を継続する予定である。
。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、次の3つの視点から新たな歩行ニューロリハビリテーションの可能性を検証することを目的とした。すなわち、1)脊髄歩行神経回路の活性化、2)高次中枢参画の最大化、および3)訓練者の能力に応じてステッピングと前方移動のアシストを適応的に変調するロボットの利用、を組み合わせた新たなリハビリ戦略の有効性を科学的に検証する。
それぞれの目標に対し、様々な方法でアプローチを試みてきた。1)に関しては電気刺激、磁気刺激などが候補として挙がっていたが、現時点では電気刺激を中心に実施することとなった。その過程で、脊髄神経回路の興奮性を評価する方法を確立することができた。その基盤にのっとって脊髄神経回路の興奮性変調を電気刺激を用いて実施することが可能となり、これは大きな成果であった。2)に関してはtDCSを用いる方法を当初の計画にはなかったが採用することとなった。新しい方法であり、まだまだ検証しなければならないものの応用可能性がかなりあることから、引き続き実験を重ねる予定である。3)のロボットに関しては開発が遅れていたが、改良に改良を重ねようやく当初想定していた機能を満たすところまできた。これに加えて、新たな歩行トレーニングロボットの構想が生まれ、その開発にも研究が拡大した。当初の予定以上の進展が見込まれるものであり、大きな成果といえる。以上、総じてみると当初の予定より遅れている部分と予定以上に進んだ面があり、おおむね順調との自己評価となった。

今後の研究の推進方策

本研究の下記3つの狙いに関して今後の研究の推進方策を述べる。1)脊髄歩行神経回路の活性化:引き続き脊髄刺激の効果検証実験を進める。既に脊髄反射を複数の筋から同時に誘発する方法を確立したため、閾値下で持続的刺激を行い、その効果を電気生理学的に調べる実験を実施する。2)高次中枢参画の最大化:tDCSを用いる方法を引き続き実験的に検証する。同時に磁気刺激を用いる方法についても検討する。この方法はうつ治療の分野で既に確立されており、クリニックとの共同研究体制が築けているので、その協力の下に検討する。3)訓練者の能力に応じてステッピングと前方移動のアシストを適応的に変調するロボットの開発:開発したロボットを用いて神経生理学実験を行い、中枢神経に与える影響について検証する。さらに新たな歩行ロボットの開発を進め、年度内に試作品を開発する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Speed dependency in α-motoneuron activity and locomotor modules in human locomotion: indirect evidence for phylogenetically conserved spinal circuits.2017

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama H, Ogawa T, Kawashima N, Shinya M, Nakazawa K.
    • 雑誌名

      Proc Biol Sci

      巻: 284 ページ: 1851

    • DOI

      10.1098

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Distinct sets of locomotor modules control the speed and modes of human locomotion.2016

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama H, Ogawa T, Kawashima N, Shinya M, Nakazawa K.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 6 ページ: 36275

    • DOI

      10.1038

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Effects of movement-related afferent inputs on spinal reflexes evoked by transcutaneous spinal cord stimulation during robot-assisted passive stepping.2016

    • 著者名/発表者名
      Masugi Y, Kawashima N, Inoue D, Nakazawa K.
    • 雑誌名

      Neuroscience Letters.

      巻: 627 ページ: 100-106

    • DOI

      10.1016

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 歩行のニューロリハビリテーション最先端2016

    • 著者名/発表者名
      中澤公孝
    • 学会等名
      日本作業療法研究学会
    • 発表場所
      新潟医療福祉大学(新潟県新潟市)
    • 年月日
      2016-05-21 – 2016-05-22
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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