研究課題/領域番号 |
26242065
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
彼末 一之 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (50127213)
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研究分担者 |
村岡 哲郎 日本大学, 経済学部, 准教授 (30398929)
中田 大貴 奈良女子大学, その他部局等, 准教授 (40571732)
藤本 浩志 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60209103)
土屋 純 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (60236908)
正木 宏明 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (80277798)
坂本 将基 熊本大学, 教育学部, 准教授 (80454073)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 運動イメージ / 視覚イメージ / 経頭蓋磁気刺激刺激 / 機能的磁気共鳴画像法 / 即時フィードバックシステム |
研究実績の概要 |
本研究では「運動学習とは、客観的な三人称運動イメージを主観的な一人称運動イメージに翻訳するプロセスを含む」という仮説の下に運動学習過程における脳の活動を解析して、運動学習と運動イメージの関連を検討することが目的である。平成28年度は三人称運動イメージと一人称運動イメージの関係性を明らかにするために2つの実験を行った。実験1は、一般成人15名を対象に、一人称運動イメージまたは三人称運動イメージ中の第一次視覚野および第一次運動野の興奮性を経頭蓋磁気刺激法を用いて検討した。イメージする動作は指タッピングであった。第一次視覚野の興奮性は第一次視覚野への磁気刺激によって誘発されるphospheneの回数、第一次運動野の興奮性は一次運動野への磁気刺激によって誘発される運動誘発電位の振幅によって評価した。その結果、三人称運動イメージ中には第一次視覚野および第一次運動野の興奮性が高まる一方で、一人称運動イメージ中には第一次運動野の興奮性のみしか高まらないことが示された。つまり、三人称運動イメージ中には視覚的イメージを一人称運動イメージに翻訳(変換)している可能性が示された。しかし、一人称運動イメージから視覚的イメージに翻訳されることはなく、一人称運動イメージと三人称運動イメージは非対称な関係にあることが示唆された。また本年は一人称運動イメージと三人称運動イメージをつなげる即時フィードバックシステムの開発に着手した。運動する選手をビデオ撮影し、その映像をリアルタイムで選手が装着するゴーグルに投影しようとするものである。プロトタイプのシステムは完成し、予備的な実験モデルとしてスキーをする被験者に応用した。時間遅れや映像の鮮明度などいくつかの問題点を洗い出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究成果を基に、平成28年度は申請書には記載されていない実験を行った。本研究の目的である「運動学習とは、客観的な三人称運動イメージを主観的な一人称運動イメージに翻訳するプロセスを含む」という仮説を実証するための実験を行い、仮説を支持する結果が得られている。また、当初の計画では2016年度から開始する予定であった、即時フィードバックシステムの開発に着手し、プロトタイプを得ることができた。このように、研究は順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は運動学習によって三人称運動イメージに関連する脳活動と一人称運動イメージに関連する脳活動がどのように変わっていくか、また、運動学習前の脳活動からその後の運動学習の効果を予測できるかを検証する必要があると考えている。具体的には、縦断的研究を行う。トレーニング前後に運動イメージ中の脳活動を計測し、トレーニング効果と脳活動の関連を調べる。また本年度開発に着手した即時フィードバックシステムを実用可能な形に完成させ、実際のスポーツ現場での応用を検討する。
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