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2014 年度 実績報告書

マイオカインの探索とその生理作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26242068
研究機関首都大学東京

研究代表者

藤井 宣晴  首都大学東京, その他の研究科, 教授 (40509296)

研究分担者 眞鍋 康子  首都大学東京, その他の研究科, 准教授 (60467412)
中川 嘉  筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (80361351)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードマイオカイン / 骨格筋 / 分泌 / 筋収縮 / 構成性分泌 / 調節性分泌 / 筋サテライト細胞
研究実績の概要

平成26年度はマイオカインの網羅的探索を行った。まず、筋サテライト細胞の初代培養系を構築した。次に、初代培養した筋管細胞を、電気収縮装置で1 時間収縮させた。収縮させた細胞とコントロール細胞の培養液に含まれるタンパク質をショットガン・プロテオーム解析で同定した。前者には構成性に分泌されるマイオカインと筋収縮によって調節性に分泌されるマイオカインが混在していることになる。一方、後者には構成性に分泌されるマイオカインのみが含まれることになる。それらの引き算によって、筋収縮に反応して分泌されたマイオカインを推定した。さらに、筋収縮によって発現量が変化する骨格筋細胞の遺伝子を、DNAマイクロアレイ法で同定した。上記2つの方法で得られたデータをタンパク質の構造予測解析に供し、分泌タンパク質を予測した。すなわち、シグナル・ペプチドを有し(SignalP; http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP)、膜貫通領域(疎水領)が1 カ所以下で(SOSUI; http://bp nuap.nagoya-u.ac.jp/sosui)、核・ミトコンドリア・小胞体への局在配列を持たない分子(SORT; http://psort.hgc.jp/)を、解析対象とした。その結果、分泌タンパク質と推定された分子に関しては、骨格筋組織および初代培養筋細胞から抽出したmRNAを用いて、RT-PCR 法で発現を再確認した。その結果、約40個のタンパク質が、マイオカインの候補分子として同定された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度は、骨格筋細胞から分泌されるマイオカインを網羅的に探索することを目的とした。まず第一に、筋サテライト細胞の初代培養系を成功裏に確立できた。さらにそれを電気刺激による収縮実験に応用することにも成功した。これらによって、これまでは株化した細胞(マウス由来C2C12細胞)しか用いることができなかった状況が改善され、より生体に近い状態の細胞(初代培養細胞)を用いることが可能となった。さらに、プロテオーム解析とDNAマイクロアレイ解析の2つの方法で広範なスクリーニングを行った。いずれの方法においても、数度のフィードバックによる実験系精度の向上を行った。その結果、最終的に約40個の候補分子を同定できた。得られた候補の数は、以降の解析に供するのに十分であると判断される。これらの理由から、平成26年度の研究目的は、ほぼ全て達成されたと結論できる。

今後の研究の推進方策

平成27年度は、平成26年度に同定されたマイオカイン候補の中から、より重要な働きをするものを見極めて、解析対象を絞り込みことにする。ショウジョウバエを用いた機能スクリーニングを行う。ショウジョウバエは遺伝子変異体のデータ蓄積が豊富で、かつ寿命が短いため一生の観察を短期間で行える利点を持つ。遺伝子組み換え系統の制作および維持費も安価である。そこで、ショウジョウバエの骨格筋特異的に、同定したマイオカイン候補分子をノックダウンした系統を作製し、その表現系の変化を指標に絞込みを行う。作製にはGAL4/UAS システムを利用する。まず、標的となるマイオカインのRNAi を転写活性化因子GAL4 の結合配列であるUAS 下に組み込んだ遺伝子組み換え体系統を、ショウジョウバエ・ストックセンター(Vienna Drosophila RNAi Center)から購入する。購入したハエを、24B プロモーターで骨格筋特異的にGAL4 を発現させた系統と交配させることにより、骨格筋特異的なノックダウンが可能となる。観察する表現型は、寿命、自発的活動量、自発的活動量の概日リズム、運動能力、体重等とし、特に寿命に注目する。ショウジョウバエの遺伝子工学は、専門家6)の坂井貴臣博士(首都大学東京・理工学研究科)の助言を受けながら進める。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 運動療法の骨格筋における分子メカニズム2015

    • 著者名/発表者名
      古市泰郎, 藤井宣晴
    • 雑誌名

      最新医学

      巻: 70 ページ: 619-624

  • [雑誌論文] Role of carnitine acetylation in skeletal muscle.2014

    • 著者名/発表者名
      Furuichi Y, Goto-Inoue N, Fujii NL
    • 雑誌名

      J Phys Fitness Sports Med

      巻: 3 ページ: 163-168

    • DOI

      http://doi.org/10.7600/jpfsm.3.163

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 骨格筋のカルニチン代謝と老化2014

    • 著者名/発表者名
      古市泰郎, 藤井宣晴
    • 雑誌名

      基礎老化研究

      巻: 70 ページ: 25-29

  • [雑誌論文] Macrophage migration inhibitory factor diminishes muscle glucose transport induced by insulin and AICAR in a muscle type-dependent manner.2014

    • 著者名/発表者名
      Miyatake S, Manabe Y, Inagaki A, Furuichi Y, Takagi M, Taoka M, Isobe T, Hirota K, Fujii NL
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 444 ページ: 496-501

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2014.01.089

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Imaging mass spectrometry reveals fiber-specific distribution of acetylcarnitine and contraction-induced carnitine dynamics in rat skeletal muscles.2014

    • 著者名/発表者名
      Furuichi Y, Goto-Inoue N, Manabe Y, Setou M, Masuda K, Fujii NL
    • 雑誌名

      Biochim Biophys Acta

      巻: 1837 ページ: 1699-1706

    • DOI

      10.1016/j.bbabio.2014.05.356

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Redox proteins are constitutively secreted by skeletal muscle.2014

    • 著者名/発表者名
      Manabe Y, Takagi M, Nakamura-Yamada M, Goto-Inoue N, Taoka M, Isobe T, Fujii NL
    • 雑誌名

      J Physiol Sci

      巻: 64 ページ: 401-409

    • DOI

      10.1007/s12576-014-0334-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] β-cell induction in vivo in severely diabetic male mice by changing the circulating levels and pattern of the ratios of estradiol to androgens.2014

    • 著者名/発表者名
      Inada A, Inada O, Fujii NL, Fujishima K, Inai T, Fujii H, Sueishi K, Kurachi K
    • 雑誌名

      Endocrinology

      巻: 155 ページ: 3829-3842

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1210/en.2014-1254

    • 査読あり
  • [学会発表] 継続的な運動による筋グリコーゲン量の増加のメカニズム2015

    • 著者名/発表者名
      藤井宣晴
    • 学会等名
      第11回乳酸研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-02-28
    • 招待講演
  • [学会発表] 筋萎縮および筋肥大研究のための骨格筋培養細胞モデルの創出.2014

    • 著者名/発表者名
      藤井宣晴
    • 学会等名
      脳心血管抗加齢研究会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2014-12-06
    • 招待講演
  • [学会発表] 骨格筋培養細胞を用いた急性収縮によるマイオカイン分泌調節の証明.2014

    • 著者名/発表者名
      古市泰郎, 眞鍋康子, 高木麻由美, 青木美穂, 藤井宣晴
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-26
  • [学会発表] エネルギー代謝機構を「分子」の視座で捉える.2014

    • 著者名/発表者名
      藤井宣晴
    • 学会等名
      第69回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      2014-09-20
    • 招待講演
  • [学会発表] 質量分析イメージングを用いた骨格筋アセチルカルニチンの可視化.2014

    • 著者名/発表者名
      古市泰郎, 井上菜穂子, 眞鍋康子, 瀬藤光利, 増田和実, 藤井宣晴
    • 学会等名
      第69回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      2014-09-20
  • [学会発表] Ingestion of Panaxatoriol ameliorates Insulin resistance in KK-AY mice by promoting insulin dependent glucose uptake in skeletal muscle.2014

    • 著者名/発表者名
      Takamura Y, Kitamura K, Iwamoto T, Nomura M, Ichiba Y, Murakoshi M, Uchiyama A, Manabe Y, Fujita S, Fujii NL
    • 学会等名
      第36回欧州臨床栄養代謝学会議
    • 発表場所
      Geneva (Switzerland)
    • 年月日
      2014-09-02
  • [学会発表] オレドキシンは骨格筋から構成性に分泌されるマイオカインである2014

    • 著者名/発表者名
      眞鍋康子, 高木麻由美, 山田美緒, 井上(後藤)菜穂子, 田岡万悟, 礒辺俊明, 藤井宣晴
    • 学会等名
      第66回日本細胞生物学会
    • 発表場所
      奈良
    • 年月日
      2014-06-11
  • [学会発表] Macrophage Migration Inhibitory Factor (MIF) suppresses glucose transport in skeletal muscle2014

    • 著者名/発表者名
      藤井宣晴
    • 学会等名
      第57回日本糖尿病学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2014-05-24
    • 招待講演
  • [備考] 研究室HP 研究概要

    • URL

      http://www.comp.tmu.ac.jp/muscle/Kenkyuugaiyou.html

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公開日: 2016-06-01  

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