研究課題
本研究では、長時間の座位行動(座り過ぎ)の健康影響および決定要因を、質の高い研究手法に基づいて網羅的に解明することを目的としている。4年目である平成29年度は、長時間の座位行動(座り過ぎ)の健康影響と決定要因を解明するための横断的研究および健康障害を引き起こす座位行動パターンの特定およびその座位行動の決定要因を解明するための縦断的調査・測定を昨年度より引き続き実施した。まず、横断的研究に関しては平成25年度から参加している対象者のうち座位行動評価のための加速度計測定、質問紙調査(場面別座位行動等)、中間アウトカム評価のための血液検査(HDL/LDLコレステロール、中性脂肪、C反応性蛋白、空腹時インスリン濃度、HOMA-IR等)および体力・運動機能測定(握力、歩行速度、TUG、膝伸展筋力等)に加えて、決定要因(人口統計学的要因、心理的要因、社会的要因、環境的要因等)の評価を行うためのweb調査データを用いて解析を引き続き行った。特に、構築環境について地理情報システム(GIS)を用いた解析を行い、座位行動パターンとの関連について詳細な検討を進めている。また、縦断的研究については、引き続き初回調査・測定に参加した対象者に初回同様の内容による調査・測定を行った。具体的には、加速度計測定は郵送調査にて実施した。血液検査および一部の体力・運動能力測定については、可能な限り対象者の自宅に近い場所で検査・測定にて参加できるように、これまで同様、全国規模で検診事業を展開している公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンターの協力を得て実施した。決定要因に関しては、従来度どおりweb調査により評価を行い、ロジスティック解析を中心とした多変量解析(身体活動量等を調整)を用いることにより網羅的に解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り、対象者の募集および調査・測定、データ解析を行っている。
平成30年度は、引き続き、5年間の長時間の座位行動(座りすぎ)の健康影響と決定要因の解明および健康障害を引き起こす座位行動パターンの特定およびその座位行動の決定要因を解明するための縦断的調査・測定を実施する。平成25年度から進めてきた40歳以上の大学同窓生を対象にした大規模コホート研究参加者のうち、座位行動評価のための加速度計測定、質問紙調査(場面別座位行動等)、健康アウトカム評価のための血液検査(HDLおよびLDLコレステロール、中性脂肪、C反応性蛋白、空腹時インスリン濃度、HOMA-IR等)および体力・運動機能測定(握力、歩行速度、TUG、膝進展筋力、筋肉量(BIA法)、慢性疼痛等)に加えて、決定要因(人口統計学的要因、心理的要因、社会的要因、環境的要因等)の評価を行うためのweb調査データを用いて分析を行う。特に構築環境について地理情報システム(GIS)を用いた解析を行い、座位行動パターンとの関連について5年間の変化の詳細な検討を行う。血液検査および一部の体力・運動能力測定については、対象者が可能な限り自宅に近い場所で検査・測定に参加できるように、これまで同様、全国規模で検診事業を展開している公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンターの協力を得て実施する。得られた結果を基にして、これまでの横断的・縦断的に検討した健康障害を引き起こす座位行動の特定およびその座位行動の決定要因を整理し、成果のまとめを行う。また、横断的・縦断的研究のすべての成果を踏まえ、座り過ぎの解消を図る効果的な取り組みを推進するための指針を作成し、報告書としてまとめる。さらに、これらの研究成果を国内外の国際学会誌および学会での発表を行う。
すべて 2017 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (3件)
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