本年度は、平成26~29年度までの研究に引き続き、長時間の座位行動(座りすぎ)の健康影響と決定要因の解明ならびに健康障害を引き起こす座位行動パターンの特定、さらには座位行動の決定要因を解明するための縦断的調査・測定を継続実施するとともに、得られたデータを用いて分析を進めた。40歳以上の大学同窓生を対象にした大規模コホート研究参加者のうち、座位行動評価のための加速度計測定、質問紙調査(領域別座位行動等)、健康アウトカム評価のための血液検査(HD LおよびLDLコレステロール、中性脂肪、C反応性蛋白、空腹時インスリン濃度、HOMA-IR等)および体力・運動機能測定(握力、歩行速度、TUG、膝進展筋力、筋肉量(BIA法)、慢性疼痛等)に加えて、決定要因(人口統計学的要因、心理的要因、社会的要因、環境的要因等)の評価を行うためのweb調査データを用いて分析を行った。特に、建造環境については地理情報システム(GIS)やWalkscoreを用いた解析を行い、座位行動パターンとの関連について詳細な検討を行った。血液検査および一部の体力・運動能力測定については、対象者が可能な限り自宅に近い場所で検査・測定に参加できるように、これまで同様、全国規模で検診事業を展開している公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンターの協力を得て実施した。5年間のまとめとして、座り過ぎの是正を促す効果的な取り組みを進めるための指針の作成に向けて、これまでの横断的・縦断的に検討した健康障害を引き起こす座位行動の特定および座位行動の決定要因について整理を行った。
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