研究課題/領域番号 |
26242074
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 資正 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40116033)
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研究分担者 |
荒井 雅吉 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (80311231)
古徳 直之 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20362618)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 抗がん剤 / がん微小環境 / 標的分子 / 海洋生物 / 分子標的治療薬 |
研究実績の概要 |
腫瘍内特異的に観察される細胞の特殊な表現型(血管新生、低酸素環境適応、栄養飢餓環境適応、上皮間葉転換)に着目した、4種のPhenotypic Screening法を用いて、独自に保有する底生海洋生物の抽出エキスおよび海洋由来微生物の培養物ライブラリーからの医薬シーズ探索を実施した。その結果、栄養飢餓環境に適応したがん細胞選択的に増殖阻害活性を示す、数種の新規アルカロイドや新規ポリケチド化合物を見出した。 がん血管新生を阻害する海綿由来のcortistatin Aアナログについては、天然物に匹敵する活性と細胞種選択性を持ったアナログ化合物の創出に成功し、さらに本化合物の大量供給が可能な合成法の確立に成功した。 これまでの研究で見出していた、低酸素環境に適応したがん細胞選択的に増殖阻害活性を示す、海綿由来のセスキテルペンについて、アナログ化合物による構造活性相関研究を実施した。その結果、本化合物の活性発現には、その化学構造全体が重要であることを明らかにした。また、構造活性相関の結果を基に標的分子解析のためのプローブ分子合成を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
医薬シーズの探索からは、低栄養環境に適応したがん細胞に対して選択的に増殖阻害活性を示す複数の新規化合物を発見し、血管新生阻害物質cortistatin Aアナログの合成研究についても、大量合成可能な合成方法を確立した。また、低酸素環境に適応したがん細胞選択的に増殖阻害活性を示す、海綿由来のセスキテルペンに関する研究についても、研究計画に従い検討が実施されている。
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今後の研究の推進方策 |
新たに見出した、低栄養環境に適応したがん細胞に対して選択的に増殖阻害活性を示す新規アルカロイドおよび新規ポリケチドについては、全合成およびアナログ化合物合成を実施するとともに、医薬シーズとしての有用性を検証していく。またcortistatin Aアナログおよび低酸素環境に適応したがん細胞選択的に増殖阻害活性を示すセスキテルペンについては、in vivoでの抗腫瘍活性ならびに標的分子の解析を実施する。
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