研究課題/領域番号 |
26242085
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川上 秀史 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (70253060)
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研究分担者 |
大澤 亮介 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (20719356)
山本 卓 広島大学, 理学研究科, 教授 (90244102)
丸山 博文 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (90304443)
外丸 祐介 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (90309352)
福士 雅也 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (50313515)
森野 豊之 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (10397953)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2018-03-31
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キーワード | 遺伝性脊髄小脳変性症 |
研究実績の概要 |
優性遺伝性脊髄小脳変性症の日本人1家系に対して、全ゲノム一塩基多型の解析を行い、連鎖解析及びハプロタイプ解析により、原因遺伝子領域を絞り込んだ。さらに別の1家系においても、同領域に同じハプロタイプを認めた。発症者において、エクソーム解析を行い、共通する変異をカルシウムチャンネル CaV3.1をコードする遺伝子CACNA1Gに認めた。同じ変異は別の1家系においても存在した。この2家系は同祖であり、この2家系に属する患者の多くは、純粋失調型小脳失調を示したが、 2人の患者は、小脳失調に加えて静止時振戦も示した。 CaV3.1 は、低閾値電位依存性カルシウムチャンネル (T-type) であり、中枢神経系、特に小脳に豊富に存在している。この研究で同定された変異p.Arg1715Hisは、CaV3.1 チャンネルの repeat IVのS4の電位センサーの位置に存在する。そこでHEK293T 細胞にCaV3.1 チャンネルを発現させた電気生理学的実験を行なったが、変異CaV3.1 チャンネルの膜電位依存性は陽性電位側に偏位していた。 さらに、我々は、iPS細胞を患者由来線維芽細胞から樹立し、プルキンエ細胞に分化させた。これは、我々が知る限り、患者由来のiPS細胞をプルキンエ細胞に分化させた初めてのケースに当たるが、形態的観察においては患者由来のプルキンエ細胞とコントロールの間では、特に差異を認めなかった。今後、詳細な解析が望まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規の脊髄小脳変性症遺伝子を同定し、その遺伝子産物の機能解析、さらにはiPS細胞の作成まで行い、順調な進行である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、患者由来iPS細胞をプルキンエ細胞にした系でのさらに詳細な解析を行うこと、及びノックインマウスを作成し、モデル動物の作成、それを用いた病態の解析を行う。
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