研究課題/領域番号 |
26243006
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
矢野 恵美 琉球大学, 法務研究科, 教授 (80400472)
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研究分担者 |
小西 聖子 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (30251557)
高田 清恵 琉球大学, 法文学部, 教授 (30305180)
小名木 明宏 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60274685)
齋藤 実 獨協大学, 法学部, 教授 (20424830)
松村 歌子 関西福祉科学大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60434875)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 受刑者 / 子ども / 北欧 / 子の最善の利益 / バンコク・ルールズ / 携帯乳児 / 差別 / 女子刑務所 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、全体会議を開催し、各自の進捗状況を報告し、問題共有に努めた。全体会議では、矢野恵美よりスウェーデンでの調査状況、分担者の小名木明宏氏よりドイツでの調査状況、分担者の齋藤実氏よりフィンランドでの調査状況等について、昨年度の犯罪社会学会での報告よりも詳細な内容が報告され、メンバーで情報を共有した。さらに代表者、分担者、協力者で各人の分担内容、分担国について調査を実施した。分担国については、矢野、齋藤の他、複数の研究協力者によって、英国の状況の調査、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーの状況の追調査が実施された。さらに小名木によってドイツの状況の追調査が実施された。 2015年5月の刑法学会第93回大会では、女性犯罪者へ刑事政策についてのワークショップを代表者(矢野)が開催し、矢野及び齋藤が女性受刑者と子どもの問題について言及した。 2015年11月の犯罪社会学会第42回大会では性犯罪規定に関するテーマセッションを代表者(矢野)が開催し、矢野(スウェーデン)、齋藤(フィンランド)、研究協力者のソ・ウニョンが韓国の性犯罪規定について報告し、子どもが性虐待の被害者の場合の取扱について言及した。 2015年11月の法哲学会学術大会において、信州大学関良徳氏主催のワークショップ「性暴力犯罪の法改革に向けて」において、矢野が報告し、日本の性犯罪規定における性的虐待を受けた子どもの扱いの問題点について言及した。 2015年12月のジェンダー法学会第13回学術大会において、受刑者を親にもつ子どもへの法的支援に関するワークショップを代表者(矢野)が開催し、矢野、小名木、齋藤、立石直子、松村歌子が2年間の研究の内容を報告した。矢野からは日本における犯罪者を親にもつ子どもが抱える法的問題を整理した報告がなされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「犯罪者を親にもつ子ども」については、①自身が親の犯罪の被害者ではない場合、②自身が親の犯罪の被害者である場合の2つのカテゴリーがあり、又、a 親が受刑中の場合、b 親が社会にいる場合のカテゴリーがあり、初年度は①aのカテゴリーの子ども達に関して研究を行った。研究を進めると、さらに①aについても、ⅰ子ども自身が刑務所に居住している場合、ⅱ子ども自身は社会にいる場合、ⅰ)受刑中の親が母親の場合、ⅱ)受刑中の親が父親の場合等、様々なカテゴリー分けが必要であることが判明したので、今年度は、細分化の部分も含め分析を行い、家族法、行政の対応についても力点を置きつつ、刑事司法全体における子どもの保護の必要性について研究を進めた。また、研究成果については4つの学会で報告を行っており、大きな成果をあげていると考える。 しかし、どの部分も、海外の調査対象国では福祉と連携して対策を進めているが、日本は受刑者の問題は法務省の管轄であり、受刑者ではない子どもの権利に着目した処遇の部分について種々の困難があり、現実的な提案を行うための調査がかなりの量必要であることがわかった。現在、日本の状況も精査しながら慎重に研究を進めているため、進捗状況がやや遅れているが、性急に研究を進め、現実味のない提案を行うことはできないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
「犯罪者を親にもつ子ども」については、①自身が親の犯罪の被害者ではない場合、②自身が親の犯罪の被害者である場合の2つのカテゴリーがあり、又、a 親が受刑中の場合、b 親が社会にいる場合のカテゴリーがある。さらに、①aについても、ⅰ子ども自身が刑務所に居住している場合、ⅱ子ども自身は社会にいる場合、ⅰ)受刑中の親が母親の場合、ⅱ)受刑中の親が父親の場合等、様々なカテゴリー分けが必要であることが判明した。そのため、2014年度は①aのカテゴリーの子ども達について、2015年度は細分化の部分も含め分析を行い、家族法、行政の対応についても力点を置きつつ、刑事司法全体における子どもの保護の必要性について研究を進めてきた。又、2015年度は日本における犯罪者を親にもつ子どもが抱える法的問題を整理し、共有した。2016年度には、刑事司法全体における子どもの保護の必要性、子ども自身が親の犯罪の被害者である(被虐待児)場合にまで研究を進め、研究メンバーが成果を報告する国際セミナーを開催予定である。
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