研究課題/領域番号 |
26244021
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
長嶋 祐二 工学院大学, 情報工学部, 教授 (50138137)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 手話 / 形態素解析 / 形態素辞書 / 福祉工学 |
研究実績の概要 |
本研究では、アニメーションによる日本手話の形態素・語彙辞書の構築、形態素記述法と記述支援システムの研究、及び工学応用として記述からのアニメーション生成による手話教育・コミュニケーション支援を目的としている。本研究は、「課題1:形態素辞書関連」、「課題2:記述法関連」、「課題3:手話工学的研究」の3 種類の課題と、これらの課題解決に必要となる語彙やコーパス収集・蓄積方法の検討、言語学的な解析や記述を支援するシステムの開発を行う「共通課題」とが有機的に関連しながら研究を遂行することになる。本研究では、情報工学的視点から新たな形式の言語資料、形態素分析や手話文法などの解明への新たなツールを提供できることを目標としている。そこで、初年度の計画に基づいて、下記の課題について実施した。 (1)語彙と例文収集およびモーションキャプチャ(MoCap)による3次元手話動作の収録作業:聴覚障害者の必要とする病院内での問診場面を想定して語彙と例文収集を行った。その結果、必要最小限の基本語彙となる117単語、1388単語より構成される172例文の収集とMoCapによる3次元動作と映像の収録を行った。 (2)形態素解析支援システムの構築:MoCapデータの形態素解析のための3次元動作をフレーム単位で分析することが可能な試作システムを開発し、分析の機能・操作性を評価中である。 (3)NVSG表記法では、音素、形態素レベルでの表記可能な手法の提案を行い論文化を行った。MoCapデータは順次記述しているところである。 (4)手話アニメーション描画方式の検討:アニメーション評価実験を行うことを目的として、NHK放送技術研究所のTVMLによらない新たな3次元動作データのビュワーの設計を行った。 今後は、MoCapデータからの動作合成方法の検討、ビュワーの開発、単語・例文の収集、形態素辞書構築を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で最も重要な点は、言語資料としての語彙収集と例文を収集し3次元動作手話データベースを構築することである。さらに、言語資料としてのデータベースは、NVSG要素モデルによる音素・形態素レベルでの記述が行われていることである。今年度は、言語資料として1505単語、177例文の動作データの収集が完了している。言語資料の記述では、音素レベルでの形態素記述を解析支援システムを用いて順調に記述を行えた。 また、手話工学からの側面では、3次元動作データからの動作合成方式の検討とシステム設計が行えた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、申請時の研究計画に基づいて、語彙と例文の収集をおこない、言語資料としての充実を図る。記述では、NVSG要素モデルの性能の見直しとともに、解析支援システムの完成を目指す。その過程で、今年度に引き続き形態素辞書の記述数を増やして行く。また、データの配布を考慮して新たな工学院大学独自の手話アニメーション用のビュワーの開発を行う。 手話の工学的応用では、既存のMoCapデータからのNVSG要素モデルによる新たな手話動作の合成方法の検討を行う予定である。
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