研究課題/領域番号 |
26244031
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
横川 博一 神戸大学, 大学教育推進機構, 教授 (50340427)
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研究分担者 |
定藤 規弘 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 教授 (00273003)
田邊 宏樹 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (20414021)
吉田 晴世 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40210710)
原田 康也 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80189711)
橋本 健一 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (20581036)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 気づき・注意機能 / 文理解 / 文産出 / 統語的プライミング / 統語と意味のマッピング |
研究実績の概要 |
平成28年度は,外国語処理における繰り返し接触による気づき・注意機能の発現と自動化に関する理論的・実証的研究として,主として以下の3つの研究課題を設定し,次のようなことが明らかとなった。 (1)「相互的同調機能の発現が日本人英語学習者の第二言語産出に及ぼす影響」を研究課題として設定し、日本人英語学習者を対象にプライミング手法を用い、相互的同調機能を支えるメカニズムである統語的プライミング効果について検証した。その結果,英語母語話者を対象とした実験で見られた、プライムを音声提示、ターゲットを音声または文字産出した際の統語的プライミング効果が日本人英語学習者に対しても見られることが明らかになった。 (2)「日本人英語学習者の文理解における統語構造および意味構造の構築の検証」を研究課題として設定し、初級および中級熟達度の日本人英語学習者を対象に、目的格関係節文と受動文とを用いて、音声提示および文字提示で心理言語学的実験を行った。その結果、中級熟達度の学習者は、意味役割の再付与はある程度自動化しており、音声と文字とでは同程度に処理ができるが、複雑で複数の統語処理が必要な場合、文理解が困難になることがわかった。一方、初級熟達度の学習者は、意味情報に依存して文を理解し、意味役割の再付与に困難性があり、統語構造の構築が困難であることがわかった。また音声のほうが文字よりも処理が困難であることが判明した。 (3)「タスクによる注意機能が第二言語文理解時における言語情報処理に与える影響:自己ペース読み課題による検討」を研究課題として設定し,句構造規則違反では、低熟達度群は統語情報に注意を向けなければ意味主導の処理を行っていることが、また、意味違反では、高熟達度群は意味情報から注意をそらしても意味違反を即座に検出したが、依然として日本人英語学習者は意味主導の処理を行っていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外国語処理における繰り返し接触による気づき・注意機能の発現と自動化の解明にあたって,平成29年度に予定しているダイアローグ環境下における,比較的長期にわたる学習による言語処理の変容を探る上で必要となる基礎的実験(①関係節文への繰り返し接触による意味・構造マッピングの発現,②音声言語産出における統語的プライミングの発現,③タスクによる選択的注意と気づきが文理解行動に及ぼす影響)を平成28年度にすべて終えることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,外国語処理における繰り返し接触による気づき・注意機能の発現と自動化に関する理論的・実証的研究を,さまざまな熟達度を含む学習者コホートを形成し,比較的長期にわたる学習による行動の変容及び認知構造の変化を,行動実験及び脳科学実験により明らかにする予定です。
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