研究課題/領域番号 |
26244044
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
関根 達人 弘前大学, 人文学部, 教授 (00241505)
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研究分担者 |
中井 均 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (10621427)
西海 賢二 東京家政学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20218142)
先山 徹 兵庫県立大学, その他の研究科, 准教授 (20244692)
羽賀 祥二 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (30127120)
狭川 真一 公益財団法人元興寺文化財研究所, その他部局等, 研究員 (30321946)
谷川 章雄 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40163620)
石田 肇 群馬大学, その他部局等, 名誉教授 (80125822)
市村 高男 高知大学, その他の研究科, 教授 (80294817)
岩淵 令治 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (90300681)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 考古学 / 日本史 / 石造物 / 日本海交易 / 民俗学 / 金石文 / 墓標 |
研究実績の概要 |
1.「廻船式目」で三津七湊の一つに挙げられている三国湊(現福井県坂井市三国町)の中近世石造物調査を行った。3380基の中近世墓標・のべ9849名分の被供養者(死者)のデータは、三国湊が15世紀末から近世にかけて、きわめて連続性の高い都市であったことを示している。これまで日本の墓標研究は主として城下町や農村を対象としており、町人や職人が主体を占める湊町での本格的な調査は、本研究が初めてとなる。中近世日本海交易のみならず、中世都市から近世都市への連続性と非連続性を議論するうえで重要なデータとが得られた。26年度中に調査データの入力・分析は全て完了しており、現在、平成27年7月の刊行を目指して、報告書作成中である。 2.石川県・富山県・新潟県の一部で北前船関連石造物の調査を行った。その結果、これまでに石川県内で13か所21基、富山県内で5か所7基、新潟県内で11か所24基を確認することができた。これらの石造物の多くは瀬戸内海産の花崗岩で作られており、製作にあたった石工銘をもつものも少なくない。それらは北前船による日本海交易の推移と瀬戸内産花崗岩製石造物の製作・流通を知るための基礎資料である。平成27年度に継続して新潟県・福井県について同様の調査を行う予定である。 3.論文や報告書に基づき、石工銘を有する近世石造物のデータベースの作成に取り掛かった。今年度は大坂ならびに泉州の石工の銘文を有する石造物についてデータベースができた。平成27年度以降、瀬戸内海沿岸の兵庫・尾道・下関などの石工について、同様のデータベースを作成していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の交付申請書で挙げていた9項目の研究計画のうち花崗岩製石造物の石材産地同定を除く8項目についてほぼ計画通り、進行している。また当初は平成27年度末を予定していた報告書『越前三国湊の中近世墓標』に関しては、予想以上に順調にデータの整理・分析が進み、平成27年7月頃に刊行できそうである。花崗岩製石造物の石材産地同定については今年度まだ具体的な研究成果は得られていないが、研究素材の選定や研究方法については見通しを立てることができた。また、平成27年度に予定してい敦賀調査に関しても、地元自治体への調査協力依頼などは26年度中に済んでおり、新年度の早い段階で着手可能な状態となっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書に記載した研究方法に則り研究を進めていくことで、基本的には計画通り、研究を進めることが可能である。今年敦賀での中近世墓標調査が終わらなかった場合でも、次年度、敦賀と小浜の2か所で調査を行うことで、大幅な遅れを生じることなく、研究を進めていく予定である。今年、敦賀で行う墓標調査には、昨年度三国の調査に参加した経験者が多く含まれており、調査のペースは昨年より早いと思われる。また、今年度導入する3Dスキャナにより、石造物の図化作業の効率化が図れることが期待できる。
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