研究課題/領域番号 |
26245016
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
飯田 文雄 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70184356)
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研究分担者 |
辻 康夫 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20197685)
早川 誠 立正大学, 法学部, 教授 (80329010)
西山 隆行 成蹊大学, 法学部, 教授 (30388756)
網谷 龍介 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (40251433)
津田 由美子 関西大学, 法学部, 教授 (30247184)
浪岡 新太郎 明治学院大学, 国際学部, 准教授 (40398912)
塩川 伸明 東京大学, その他部局等, 名誉教授 (70126077)
渋谷 謙次郎 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50346277)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 政治学 / 多文化主義 / 政治理論 / 政治史 / 政策研究 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、多文化共生社会論を巡って、2000年代後半以降に生じた変化を、労働政策・宗教政策・司法政策という3つの政策領域に則しつつ解明することを目指すことにある。本年度は、その中でも、多数派自身の失業・貧困の拡大を承けて、多数派と少数派の利害対立が深刻化しつつある労働政策をとりあげ、以下の諸問題の考察を行った。 (1)第一に、本研究では、政治哲学・政治史学等の領域で行われた、近年の多文化共生社会における労働政策の変容に関する多様な理論的先行研究を批判的・総合的に検討し、その特色や問題点について考察した。その結果、①従来の多文化共生理論では、ゲストワーカーや難民等の諸類型は、受け入れ国の多数派市民や永住希望者に見られる明確な帰属欲求を欠いた、否定的存在としてのみ把握され、その特色の積極的な定義づけや理論的考察が遅れてきた、②その中で近年、労働をめぐる諸政策、特に最低限の労働環境維持にかかわる諸政策を、長期移民からゲストワーカー・難民に至る万人に普遍的に適用しようとする新しい理論的考察が開始されつつある、等の重要な知見が判明した。 (2)更に本研究では、2000年代後半以降の北米・西欧・東欧諸地域において、多文化共生社会の労働政策の中に生じた具体的変化の特色やその諸要因等について考察した。その結果、①これら諸国では近年、景気の悪化とともに、外国人労働者、特にゲストワーカーが大幅な労働条件の悪化に直面する機会が増加し、そのことが新しい政治的要求の台頭と政治的緊張関係を生み出している②こうした要求が成功するか否かは、ゲストワーカー・難民類型の数的増加という要因によりも、むしろこれら少数派類型の有効な組織化という要因に依存する傾向性が強い、等の重要な知見が判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本語での研究論文・図書の公刊や学会報告が当初の予定通り相当数行われており、更に外国語での研究報告も当初の予定通り順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初計画に従い、多文化共生社会の変容と宗教政策・司法政策の関係、及び多文化共生社会の政策システム全体の特色や日本の多文化化に関する諸問題等を順次考察する予定である。
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