本研究は、ペルーアマゾンにおいて最大規模のフィールド調査(流域全村調査919村、農村・家計標本調査235村、約4000家計)を実施し、リモートセンシング・GISデータ分析と組み合わせて、熱帯雨林の保全と開発に向けた革新的な研究を行うものである。5年目最終年の今年度は、主に次を実施した。 1.第1回農村・家計調査データの校正を行い、汎用性の高い様々な変数(農村厚生、所得、土地、資産等)を作成した。リモートセンシング分析を行い、汎用性の高い農村(バッファー)レベル・グリッドセルレベルのGISデータベース(森林被覆、洪水脆弱性、開放水域・浸水域、土地肥沃度、河川ネットワーク距離等)を作成した。 2.ウカヤリ川流域の農村・都市で現地調査を行い、河川災害の現状、考古学視察、農村経済の近況、通信・交通環境の変化、都市化等について広範な調査を行った。 3.水上交通環境についてのアーカイブ調査、ならびにルートごとの交通手段・コスト等について現地でデータ収集を行った。 4.流域全村調査データを用いて個別テーマごとの分析を行った。主なテーマは、地理的貧困の罠、氾濫原におけるリスクと機会、ウカヤリ川民族史と考古学、ウカヤリ川農村の近況、生物資源の枯渇、洪水への脆弱性、農村市場の構造と特性、自然保護区の影響、生物資源指標に関する方法論、農村ネットワークと市場、種子ネットワークの形成、市場アクセスと環境、市場と非市場取引の関係である。地理的貧困の罠、氾濫原におけるリスクと機会について、国際学会で発表した。
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