研究課題/領域番号 |
26245034
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
雲 和広 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70314896)
|
研究分担者 |
道上 真有 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30527693)
堀江 典生 富山大学, 極東地域研究センター, 教授 (50302245)
武田 友加 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (70376573)
五十嵐 徳子 天理大学, 国際学部, 准教授 (80294156)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ロシア / 人口 / ミクロデータ / 出生 / 死亡 / 移動 |
研究実績の概要 |
初年度に当たる平成26年度は,①機関・研究グループ単位での利用を可能とした契約によるロシア長期モニタリング調査RLMS個票の獲得・ISSP個票の獲得並びに整理と,②文献調査を中心とする人口動態規定要因の再精査に取り組んだ. 文献の渉猟を実施すると共に,現地での調査を行い,研究代表者らが長きに渡り関係を有しているロシア科学アカデミー社会政策研究所・ロシア連邦統計局の研究者達との討議を通じて現地における問題意識の明確化や背景事情の把握に努めた.それらを通じて設定する作業仮説を基に,分析に導入するデータの選択とモデルの設定並びに試論的分析を行った.現地調査に関しては,これまで共同研究を行ってきたロシア科学アカデミー社会政策研究所S. Ryazantsev教授・同地理学研究所T. Litvinenko教授・ペテルブルク大学経済学部L. Popova教授・リーズ大学I. Korgun研究員等の全面的支援を戴いた.またアンケート票作成等の準備を行う事も必要であった.プロジェクト進捗状況の相互点検や意見交換のため,メンバー全員による研究集会を定期的に,3回開催した. 全体の研究の流れは(1)機関・研究グループ単位での利用を可能とした契約によるRLMS個票その他データの獲得;(2)文献調査を中心とする人口動態規定要因の再精査;(3)データの作業用クリーニング;(4)試論的モデルの設定と分析;(5)マクロ・セミマクロデータとの整合性のチェック;(6)社会学的調査によるデータの補強;(7)分析モデルの再構築と再度の分析;(8)成果のとりまとめと公表,という8段階であるが,平成26年度は(1)~(4)に傾注した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作業は当初の計画に従い順調に進展している.また先行研究において,未着手ないし分析が不十分であるような論点に関する独自の実証分析も実施しており,プロジェクトは未だ立ち上げたばかりであるが,既に学術図書1点,雑誌論文および書籍所収論文9編(うち査読付き論文4編)の公開を実現した.かかる研究成果の学術図書または学術雑誌上での公表のみならず,日本および諸外国において,招待講演8件を含む総計15件の研究成果報告も行った. 以上から,本研究プロジェクトは初年度において概ね順調に進行しており,かつ研究チーム独自の実証研究は,当初の目標の通り順調な進度で研究成果をあげつつあると評価出来るものと考える.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は,全期間を通じロシア長期モニタリング調査(RLMS)及び国際社会科学プログラム(ISSP)の個票を基礎として進めることを想定している.加えて平成27年度以降は,分析項目に具体性を持たせるための社会学的調査を実施する.分析では,解釈のコアとなるジェンダー・労働・生活習慣・地域社会という視点を統合する事でロシアにおける人口動態要因の総合的理解を可能とする.海外共同研究者及び海外研究機関と協働し,研究代表者及び研究分担者4名の合計5名からなる研究グループを中心として推進する. 第2年度・第3年度である平成27・28年度は,試論的モデル設定から最終的な分析モデル構築に向けた段階に進むことを想定している.平成26年度後半の作業を継続すると共に,ミクロデータから得られた知見がマクロレベルのデータと一致するのか否かを十全に検討する.さらに大規模データによる分析の説得性を補完するべく,社会学的ミクロヒストリー収集を行う.ここで前提としているのは(出生規定要因について)女性への,或いは(死亡率規定要因に関する)飲酒者家族等への直接的なインタビューである.これはS. Ryazantsev氏・I.Korgun氏らの協力の下に進める.それと並行してミクロデータ分析も鋭意実施する.可能な限りモデルの特定化を進め,より説得力のある人口動態規定要因の抽出を図る.ここまでの研究を踏まえ,分野毎の成果を逐次学術論文に集約し公表する.中間的成果に基づき,欧州比較経済学会・北米スラブ研究振興連合会大会等での成果の公表を行う.日本比較経済体制学会・ロシア東欧学会等を利用した我が国研究者への成果還元も実施する.なおRLMSの使用資格取得は毎年必要であり,平成29年度もその作業を要する事を付記しておく.
|