研究課題/領域番号 |
26245039
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
小塩 隆士 一橋大学, 経済研究所, 教授 (50268132)
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研究分担者 |
青木 玲子 一橋大学, 経済研究所, 非常勤研究員 (10361841)
稲垣 誠一 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 客員教授 (30526380)
神林 龍 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (40326004)
臼井 恵美子 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (50467263)
阿部 彩 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 部長 (60415817)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | パネル・データ / 主観的厚生 / 所得格差 / 世代間利害調整 / 就業行動 |
研究実績の概要 |
初年度の平成26年度においては、当初の計画通り、「雇用と子育てに関するパネル調査」(LOSEF)の第1回インターネット調査を平成26年12月に実施した(回収数1397件)。現在、データのクリーニングと暫定的な分析を進めているところである。 そのほか、既存の大規模調査等に基づいて以下のような研究を進めた。(1)LOSEF(郵送による本調査)を用いて、父親の働き方と母乳育児との関係を分析した結果、父親がフレックスタイム制のようなより柔軟な働き方をすることで、母乳育児が多くなり授乳期間も延びることを確認した。(2)LOSEF(インターネット・パイロット調査)を用いて、初職が非正規だった経験が現時点のメンタルヘルスに及ぼす影響を分析した結果、男性の場合、初職が非正規だった経験は、あまり媒介されず直接に現時点のメンタルヘルスを悪化させることを確認できた。(3)JSTAR(くらしと健康の調査)を用いて、日本における年金受給年齢の男性の労働状況を分析し、米国と比較した結果、50歳代に雇用者であった男性は現状より働く余力を持っているとの結論が得られた。(4)厚生労働省「中高年者縦断調査」のパネルデータを用いて、中高年のメンタルヘルスの決定要因を分析した結果、家族介護への関与の影響が、ほかの社会経済的要因より大きいことを確認した。(5)子どもの自己肯定感に対する、貧困や学力、学力以外の能力の影響を分析した結果、貧困は、学力・能力低下を経由することによってだけでなく、それ自体が自己肯定感を引き下げることが明らかになった。(6)第3号被保険者制度を廃止した場合の影響を、マクロ(年金財政への影響)・ミクロ(将来の高齢者の貧困率、マイクロシミュレーションモデルによる推計)の両面から定量的に評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、「雇用と子育てに関するパネル調査」(LOSEF)の第1回インターネット調査を平成26年12月に実施し、今後の研究を進めるうえで十分なデータを得ることができた。また、LOSEFの郵送調査など既存のデータを用いた実証分析を積極的に行い、多くの研究論文の刊行や学会報告を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の平成27年度においては、第2回LOSEFインターネット調査を実施する。今回の調査は基本的に第1回調査と同様のものとするが、対象者を中高年世代とする。また、第1回LOSEFインターネット調査のデータが利用可能になるので、それに応じて実証分析をさらに進める。具体的には、1年目に得られた研究成果をベースとして、(1)公的年金と引退行動の関係の解明、(2)親の社会経済的地位の子供への影響、(3)主観的厚生の動学メカニズムの解明、(4)世代間の利害調整メカニズムの解明、などを進める。
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