研究課題/領域番号 |
26245059
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
中澤 秀雄 中央大学, 法学部, 教授 (20326523)
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研究分担者 |
玉野 和志 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (00197568)
西城戸 誠 法政大学, 人間環境学部, 教授 (00333584)
畑山 直子 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (10732688)
森久 聡 京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (20736649)
嶋崎 尚子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40216049)
大國 充彦 札幌学院大学, 経済学部, 教授 (40265046)
木村 至聖 甲南女子大学, 人間科学部, 准教授 (50611224)
島西 智輝 東洋大学, 経済学部, 教授 (70434206)
新藤 慶 群馬大学, 教育学部, 准教授 (80455047)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 炭田 / 石炭産業 / アーカイブ / 東アジア国際比較 / 離職者 / エネルギー政策 / 地域再生 |
研究実績の概要 |
2017年度も、以下の各班に分かれて活動を行い、順調に成果をあげた。 (1) 政策技術班 国際比較を念頭に、他科研課題も関連させながら、国内外産炭地の訪問・資料収集を実施し、本課題のゴールである東アジア産炭地の総合的理解に向けた一里塚とした。とりわけ2017年12月から翌2月にかけて、初めて台湾北部(基隆)炭田を訪問し、現地の元炭鉱マンのインタビューを実施したほか、カウンターパートとなる台湾側研究者と知遇を得た。また、日本国内の元炭鉱技術者へのインタビューを実施し、技術者間の人的ネットワーク、および鉱山技術の専門性と汎用性などについて知見を得た。 (2) 離職者班 三井芦別炭鉱の合理化(1986年)から閉山(1992年)までの炭鉱収束期に焦点をあて、会社の合理化(規模縮小、坑口統合、流動配番の採用、炭住区の集約等)が、労働者・家族の生活、地域・学校に与えた影響(地域内での転居・転校、共働き化、校内の荒廃、進学意欲の低減等)、閉山後のコミュニティの衰退に関するヒアリング(子ども世代2名、PTA関係者3名、市議1名)ならびに資料収集を実施し、炭鉱閉山での「あらかじめ対策」の実態把握を進めた。 (3) 社会運動班 北海道空知地域の炭鉱(住友赤平、空知炭鉱、夕張炭鉱、三井芦別)に関わる炭鉱主婦会、ならびに旧産炭地域の家族会の活動に関する聞き書きを完成させ、2つの論文にまとめた。また、炭鉱主婦会、炭婦協の活動経緯とその現代的意義を考察し、その論考をまとめた。 (4) 生活文化班 これまでの各地の産炭地における調査を踏まえて、国内の炭鉱の記憶・産業遺産の保存活用事例のモデルケースとして、北海道赤平市(住友赤平炭鉱)と福岡県大牟田市(三井三池炭鉱)の2地域を選び、地域社会内部での社会層の違いによるスタンスの違いを明らかにすべく、それぞれの地域で聞き取り調査・資料収集を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東アジア産炭地の比較研究を緒に付ける課題に関しては、2019年3月に別資金により日本・韓国・台湾三カ国の研究者が参加するセミナーを開催する目処がたち、一定の成果をあげた。また日本国内の主要8炭田の研究は順調に深化させることができ、現代からみた炭鉱産業に関する知識基盤が形成され、その成果として青弓社から今夏に研究会メンバーの共著『炭鉱と「日本の奇跡」』(仮題)が出版される見込みとなった。
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今後の研究の推進方策 |
本課題により緒に付けることができた東アジア産炭地比較研究を定着させ、本科研費チームが国際的な産炭地再生・エネルギー政策研究の東アジア拠点として機能できるよう、国際的なネットワーキングを進め、国内諸炭田においてもアーカイビングとそれに基づく社会科学的な成果産出に更に強力に取り組んでゆきたい。それが炭鉱産業を「文化資源」として引き継いで行く道だからである。
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