研究課題/領域番号 |
26245060
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研究機関 | 大阪商業大学 |
研究代表者 |
岩井 紀子 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (90223362)
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研究分担者 |
宍戸 邦章 大阪商業大学, 総合経営学部, 准教授 (10460784)
佐々木 尚之 大阪商業大学, 総合経営学部, 講師 (30534953)
埴淵 知哉 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (40460589)
仁田 道夫 国士舘大学, 経営学部, 教授 (70114600)
岩井 八郎 京都大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80184852)
川口 大司 一橋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80346139)
谷岡 一郎 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (90227207)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ワークライフバランス / 持続可能性 / 東アジア / 日本版総合的社会調査 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 / 中国:台湾:韓国 / 東日本大震災 |
研究実績の概要 |
全国300地点で4500人を対象として2月に開始した調査(JGSS-2015)を終了。データを作成し、クリーニングと並行して分析を進め、国内外の学会・シンポジウムで報告、結果概要を『調査月報』に連載。『研究論文集』と『コードブック』を編集・発信。東アジア社会調査(EASS)の共同研究機関である中国人民大学チームと台湾の中央研究院チームも、Work Lifeモジュールを組み込んだ全国調査をそれぞれ実施。 【4-5月】調査終了。有効回収数2,079(回収率52.4%)。JGSS-2000~2012の全変数リストを基に変数名とラベルを作成。データの点検・入力指示書を作成。【6-7月】日本経済研究センター研究奨励金(岩井紀子)、大阪商業大学アミューズメント研究所プロジェクト助成金(谷岡一郎)を得て、調査票の入力前点検と入力と確認作業を依頼。データ読み込みプログラムを準備。European Survey Research Association (レイキャビック)で報告。 【8-9月】納品データを基にデータファイルを作成。クリーニングを開始。労働問題に関する調査研究助成金(岩井八郎ほか)を得て、職業・産業の詳細情報(本人・配偶者・父)の入力とコーディング(SSMコードとISCO国際標準コード)を1年前倒しで実施。国際社会学会家族委員会セミナー(ダブリン)、日本家族社会学会、日本音響学会、日本社会学会で報告。EASSシンポジウム(台北)で報告、国際統合データの作成手順を確認。 【10-2月】The 5th International Symposium on Environmental Sociology in East Asia(東北大)で報告。JGSS研究発表会(公開)を開催。JGSS-2016実施の調査協力。 【3-5月】「学歴に関する調査票の設計問題」と「外国人受け入れ意識」に関する論文を『JGSS研究論文集』に収録、『基礎集計表コードブック』と共にJGSS研究センターのウェブサイトから公開。JGSS-2015の回答分布をウェブサイトの変数名索引に追加。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実施計画をすべて遂行した。職業・産業コーディングは、1年前倒しで実施した。予定より早く、9月の初旬から学会報告と結果概要の連載執筆に取り組んだ。J15の回答分布は、研究者を含め誰もが閲覧できるウェブサイトの事項索引・変数索引に、予定よりも早く追加した。 EASSについては、平成27年度の研究実施計画で懸念したように、韓国チームは最終的にKorean General Social Surveyを実施する研究費を獲得できず、調査を断念した。中国と台湾は予定通り実施した。日本と台湾はInternational Social Survey Programme (ISSP) 2015 Work Orientationモジュールも組み込んでいる。 データ・クリーニングを進める過程で、回答者が「専修・専門学校」と「高等専門学校(高専)」とを混同し、また、旧制・新制学校を混同しているケースが少なくないことを発見した。すべての調査票の教育関連の回答を丁寧に点検して、JGSS-2015拡張版であるJGSS-2016の調査票のレイアウトを変更した。詳細は「学歴に関する調査票の設計問題」(http://jgss.daishodai.ac.jp/research/res_top.html#16)にまとめている。 J15の実施過程では、詐欺事件に巻き込まれ、個人情報の保護に不安を感じた調査対象者の訪問をきっかけとして、自治体における住民基本台帳の閲覧範囲の公表状況を調査した。その結果、総務省令に即して自治体が公表している情報と公開データとさらに情報を組み合わせれば、個人や家族の匿名性が危ぶまれる可能性に気づいた。JGSSのみならず、データを公開しているあらゆる社会調査がこの問題に直面している。研究代表らは、総務省令が施行された平成20年以降の自治体による閲覧範囲の公表状況を調べて、資料を作成し、データアーカイブ、関連諸学会、関連する省庁に、問題を伝えて事態の改善を図っている。平成20年以降のJGSSの公開データからは、調査対象者が居住する都道府県の変数を落とすことにした。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度研究実施計画に即して、J15のデータ分析を進め、研究成果を発信するとともに、中国と台湾のチームが収集した共通設問のデータと合わせて、EASS 2014/2015 Work Lifeのデータを作成する。 これらのデータとこれまでの蓄積データ(JGSS-2000~2012)を合わせて、女性の就業、育児責任、高齢者の介護責任、再生可能エネルギーの利用、節電行動、自然災害・環境汚染のリスク認知、地域の対応力など、社会の持続可能性にかかわる人々の意識と行動を分析する。またサンプル規模と回収率の低下から分析に十分なケース数が確保できなかった25~49歳を対象として実施したJGSS-2015拡張版(JGSS-2016;分担研究者が主体となり実施;J15の調査地点のうち140地点で25~49歳の2100人を対象)のデータ整備を補佐し、このデータも加えて分析する。速報値ではあるが、J16の有効回答数は973である。 7月には、国際社会学会Forum of Sociology(ウィーン)で報告し、9月には日本家族社会学会で、韓国、中国、台湾から各1名を招聘して、EASSの国際セッションを組む。10月には、EASSシンポジウム(成均館大学;ソウル)で報告する。 J15とE14/15を日本・アメリカ・ドイツのデータアーカイブに寄託するための調査関連資料を作成する。総務省令に即して閲覧範囲を公表している自治体の割合は、この1年に10.3%から33.7%に増えた。近畿、関東、北海道・東北の大都市では、約6割が閲覧範囲を公表している。そこで、J15を公開する際には、都道府県の変数だけではなく、地域ブロックの変数も外す。これらの変数の利用を希望する研究者は、これまでにJGSSデータを利用して論文などの成果をJGSS研究センターに報告している同僚の研究者による署名を添えて、JGSS研究センターに直接申請するなどの仕組みを考えている。閲覧範囲の公表形式については、関連諸学会と連携して、関連する省庁に対して引き続き改善を働き掛ける。
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備考 |
平成27年度(1月まで)に、本研究が管理しているJGSSまたはEASSのデータ(国内外のデータアーカイブに寄託した公開データを含む)を用いて執筆された雑誌論文は23、学会発表は25、図書は4、新聞記事・テレビ報道は1である。 大阪商業大学JGSS研究センター JGSS/EASS関連文献 http://jgss.daishodai.ac.jp/research/res_bibliography.html
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