研究課題/領域番号 |
26246018
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
纐纈 明伯 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10111626)
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研究分担者 |
村上 尚 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90401455)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | HVPE / THVPE / InGaN三元混晶 / 窒化物半導体 / 気相成長 / 発光素子材料 / 大陽電池材料 |
研究実績の概要 |
InxGa1-xN窒化物三元混晶は、組成(x, 混晶中のInN組成)を制御することにより結晶のバンド端エネルギーを光の波長として紫外領域の365から赤外領域の1700nmまで変化させる事ができる。つまり、この材料によれば太陽光のほぼ全域の発光および吸収が可能なことを示している。このように優れた潜在能力を有する材料であるが、残念なことに現状ではInN組成が20%以上の高品質結晶が得られていない。 本研究では、新しい原料分子を用いることにより世界的にも実現していない全組成領域での厚膜・高品質なInGaN結晶の創製を目的とした。本研究の実現により、内部量子効率100%近い高効率発光素子および60%以上の高変換太陽電池など、低炭素社会構築のキーデバイスの誕生が期待できる。 平成26年度の研究目的および実績を以下に示す。 (1)反応解析・成長条件の探索: 熱力学解析システムの構築が完了した。さらに、InGaN成長の最適な成長条件の探索を目的とした、実験毎に熱力学解析が可能な計算システムの構築も完了した。これにより、シュミレーションの成長実験へのフィードバックが可能となった。(2)InGaN成長装置の改良: 原料部の反応の完全性および安定性のために、装置改良を行い、これまで反応系外で生成したGcL3を、同じ反応管内で成長可能なように改良した。これにより、安定した原料供給が期待できる。(3)初期基板の探索: -C面GaN自立基板上への成長条件の確立を行った。(4)In組成30%までのInGaN成長: In組成30%までのInGaN成長に成功した。(5)第一原理計算による各種面方位での生成の自由エネルギー変化: 面方位とIn組成の関係を第一原理計算により明らかにした。H26年度はDMol3計算パッケージを用いて行った。より精度の高いCASTEPをH27年度に導入し、より精度の高い物理的定数を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果は当初の計画通り、進展している。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度にIn組成30%までの混晶成長に成功した。さらに、30%以上の混晶成長の条件の確率を目指す。このために、H26年度に構築した熱力学解析システムを駆使するとともに、基板面方位とIn組成の関係を第一原理計算から明らかにする。この目的のために、H27年度にソフトウェアー(CASTEP)を購入し、より精度の高いシュミレーションを行う。 また、高品質で高速成長が可能な成長条件の確立も行い、厚膜InGaN成長のための基礎的な成長条件の確立を行う。
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