研究課題
金属2次元ナノギャップ構造体にラゲールガウス(LG)ビームを照射して多重極局在プラズモンを励振し、LGモードの運動量(波数)・スピン角運動量(円偏光)・軌道角運動量(螺旋波面)を転写して多重極モードの近接場干渉を制御するという独自のアイデアにより、ナノスケールで電場振幅・位相分布を自在に成形する光ナノシェーピングを世界に先駆けて実現することを目的としている。本年度は、四重極プラズモン場を誘起する金ナノ四量体構造、および、ナノ円偏光場を誘起するための金ナノ三量体構造の数値解析的なデザインを進め、電子線描画装置を用いて実際にナノ構造を作製し、電子顕微鏡により設計値通りに構造が作製できているかどうかを確認した。電子線描画装置のドットの広がりを考慮した設計やドーズ量の調整により、三量体構造のギャップ部を15nm程度のサイズまで小さくすることに成功し、よりギャップ部に強い局在場を誘起することが可能となる構造の作製に成功した。この試作構造の散乱スペクトルの測定を行なった結果、散乱スペクトルの測定結果と数値解析結果の比較により、両者がよく一致することを確認し、金ナノ四量体構造のギャップ部に四重極場が、金ナノ三量体構造のギャップ部に円偏光場が実際に誘起されることを確認した。また、試作した金ナノ三量体構造に水中で波長1064nmの円偏光レーザー光を照射し、水溶液中のナノ粒子を実際にナノ円偏光場で捕捉することに成功した。また、ナノ粒子の位置解析を行なった結果、ギャップ部に誘起されるナノ円偏光場のスピン運動量がナノ粒子運動に転写され、ギャップ部周辺においてナノスケールの軌道回転運動が誘起されることを確認した。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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