研究課題/領域番号 |
26246038
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
池上 健 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 上級主任研究員 (60356417)
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研究分担者 |
渡部 謙一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 主任研究員 (50358389)
高見澤 昭文 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 主任研究員 (50462833)
柳町 真也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 主任研究員 (70358216)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2018-03-31
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キーワード | 低温サファイア発振器 / 周波数安定度 / 局部発振器 / パルス管冷凍機 / 振動抑制クライオスタット |
研究実績の概要 |
セシウム一次周波数標準器の精度は15桁を超え、また秒の再定義を目指した光時計の開発も活発に行われている。国際原子時の精度向上には一次周波数標準器の精度に見合う局部発振器が必要になるが、現状の水素メーザーでは性能が不足しつつある。低温サファイア発振器(Cryogenic Sapphire Oscillator,CSO)は最も短期安定度の優れた発振器であるが、定期的な液体ヘリウムの補充が必要で使い勝手が悪い。西オーストラリア大学では振動抑制冷凍機を用いた電気的冷却方式のCSOが開発され、液体ヘリウムで冷却したCSOよりも優れた周波数安定度が達成されている。本研究では1秒程度から1日程度にわたる平均時間において15桁より優れた周波数安定度を有し、かつ数年にわたって連続運転が可能な水素メーザーを置き換える局部発振器の実現を目指している。 今年度は、2台目の電気的冷却方式CSOを開発し、昨年度に開発されたCSOとの比較を行った。最適化された真空缶によりヘリウムガスの液化に成功し、7Kにおいてサファイア結晶の十分な温度安定度を得ることが出来た。 2台のCSOを相互に比較することで短期の、また一次周波数標準器を基準として中長期の周波数安定度の評価を行った。この評価結果をもとにして制御系のパラメーターの改善を行い、1台目のCSOの周波数安定度として平均時間1秒から30000秒の間で2x10の(-15)乗、また2台目のCSOでは1秒から6000秒の平均時間において4x10の(-15)乗より優れた周波数安定度を達成した。CSOはセシウム原子泉方式一次周波数標準器に組み込まれ、量子投影雑音を実現し、連続運転が実現された。 今後、ループ内素子の雑音測定を行うとともに、残留振幅変調雑音の低減も行って、1秒から1日の平均時間における周波数安定度を16桁台に改善する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、液体ヘリウムで冷却された低温サファイア発振器を2台とも電気的冷却方式に置き換えることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
発振ループ内の素子の位相雑音を評価することで周波数安定度の限界を決めている素子を同定し改善することでさらなる周波数安定度の改善を行う。
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