研究課題/領域番号 |
26246043
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 博明 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 教授 (60135754)
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研究分担者 |
中井 光男 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 教授 (70201663)
余語 覚文 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 准教授 (50421441)
有川 安信 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 講師 (90624255)
三間 圀興 光産業創成大学院大学, その他の研究科, その他 (30033921)
阪部 周二 京都大学, 化学研究所, 教授 (50153903)
大竹 淑恵 国立研究開発法人理化学研究所, その他部局等, その他 (50216777)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 中性子ラジオグラフィ / レーザー駆動中性子源 / 光核反応 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、レーザー生成高速電子が物質を運動する過程で放つ高エネルギー制動放射X線により、二次的に発生する中性子の発生数を向上させるとともに、時間分解中性子イメージング検出器を開発することにより、最終的に30cm厚さの鉄筋コンクリートの中性子ラジオグラフィの可能性を調べることにある。本年度は大阪大学ペタワットレーザーを用いた光核反応中性子発生に関する実験を行った。レーザー照射Taブロック(1x1x1mm)表面に金製のコーンを付加することにより発生中性子数が1桁向上し、10^10個/ショットの発生に成功した。また、LFEX実験の派生的成果としてレーザーパルスのコントラスト向上ならびに大きなレーザースポットによる一次元プラズマ(横方向広がりを抑制したプラズマ)生成が、高エネルギー粒子発生に極めて効果的であることを見出し、高エネルギーイオンを用いた新しい中性子発生の可能性を広げた。 平行して、ハニカム構造材に液体シンチレータを浸潤させたパネルからの出力画像をゲート付きCCDカメラで撮像する「時間分解中性子画像装置」を開発した。大阪大学LINACを用いて制動放射X線ならびに光核反応中性子を発生させ、コンクリートやプラスティックブロック、水を満たしたバケツなどの撮像を行い、時間分解性画像ならびに中性子ラジオグラフの撮像に成功した。また、理研小型加速器中性子源RANSを用いた撮像実験も実施し、鉄筋コンクリートを検体とした中性子画像の撮像に成功した。これらの研究により、時間分解2次元中性子画像装置に関する今後の開発課題を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
レーザー照射を受けるターゲット構造を工夫することにより、光核反応中性子の発生数が1桁向上した。中性子ラジオグラフィの実用化を目指した際、発生効率の向上は、駆動レーザーへの要求値を低下させ、装置の開発コストを大幅に低下させることができる。また、派生的成果として新しい中性子発生法の着眼を得た。
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今後の研究の推進方策 |
時間分解中性子画像装置に関して光量を増すための工夫(例:キャピラリー内面の光沢向上)を図り、より良好な画像取得ができるよう改善を進める。こうして完成した装置を用いて、 LFEXレーザー駆動光核励起中性子を線源とした撮像実験を行う。検体としては鉄筋コンクリート片とする。レーザー照射によりターゲットから発生する中性子に加え、プラズマ発生チェンバー壁からの中性子ならびに散乱中性子が重畳するため、ターゲット構造、中性子コリメーション、時間弁別など、取得画像の質を向上する工夫を行う。
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