研究課題/領域番号 |
26246046
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
冨澤 宏光 公益財団法人高輝度光科学研究センター, XFEL利用研究推進室, 副主幹研究員 (40344395)
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研究分担者 |
南出 泰亜 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, チームリーダー (10322687)
谷内 努 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 加速器部門, 副主幹研究員 (60360822)
黒田 隆之助 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア部門, 研究員 (70350428)
岡安 雄一 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 加速器部門, 研究員 (90509910)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | EOサンプリング / 有機EO結晶 / 3次元バンチ形状モニター / フェムト秒バンチ計測 / XFEL / EOサンプリングの空間多重化 / 電荷モーメント / EOサンプリングの波長多重化 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、3D-EOサンプリング 計測実験のためのタイミングシステムの更新と試験加速器分散部での極短バンチ生成、ロバストな超高速応答 EO 素子の開発を進めた。有機 EO 結晶の DAST(特許第 1716929 号)を分担者の南出がチームリーダをしている仙台理研テラヘルツ光源研究チームにおいて、結晶成長後にアニール処理し光学研磨したものを量産して実験に必要な数量を生産した。同時に、超高速バンチ計測に適した高品質EO 素子のオフライン評価システムも整備した。 EOプローブレーザーの空間プロファイル(横モード)が悪かったため、有効な3次元バンチ計測ができる状態にするため、レーザー結晶ロッドの太さを変えることでこれを改善した。これにより、円環ビームに変換時のレーザー光の強度分布が均一化することに成功し、EOプローブの空間多重化が精密に出来るようになった。 加速器およびレーザー関係のタイミングシステムを更新して、6D-EOサンプリング・プローブ光源の試験機を用いて計測実験を開始した。タイミング合わせには成功したが制御システムを開発しないと実験の効率が悪いため、各種の改善を進めるとともに制御系全体を次年度に向けて開発することにした。本年も引き続き、電子ビーム入射時の放射線による結晶劣化の調査を、2段階の EOサンプリングによる評価試験と並行して行った。本年度は、オフラインEO結晶の品質評価システムが完成したため、電子ビーム実験の前に結晶評価ができるようになった。有機結晶の EO 機能障害メカニズムはまだ明らかではないが、次年度の加速器での試験により正確な障害メカニズムが明らかになると思われる。この結果はEO 素子作成を担当している南出チームにフィードバックして素子の改善を継続的に進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、タイミングシステムを更新しその有効性を確認した。同時に超高速計測に必須な広帯域用のEO-プローブ光の空間プロファイルの改善を行い、これで3次元バンチ形状モニターの実現(EOプローブの空間多重化)が可能になった。また、EO結晶のオフライン評価システム完成により、フェムト秒応答のある高品質有機EO 素子を量産するところまで来ており、当初の計画が順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度までに開発した3D-EOサンプリング計測要素を用い、試験加速器での実証試験を進める。結晶成長後にアニール処理し光学研磨を施した高品質 EO素子を8個ずつEOモニター部に集合体としてアセンブリする。この有機 EO結晶の集合体で最終評価ビーム試験を実施する。EO素子としての超高速応答性を中心に SPring-8 のフェムト秒バンチ試験加速器(30 fs)で分担者の谷内チームで行う。今年度までに完成した 3D-EOサンプリング・プローブ光源のプロトタイプ機を用いて実験する。EOプローブ光は高品質化した円環ラジアル偏光ビームにして伝送する。広帯域用のラジアル偏光素子は既に基礎試験を終えているので、それを用いる。また、EO結晶劣化問題の解決策の一つとして、産総研テラヘルツ光源加速器で、EO 素子に対する放射線照射を防止または 低減する3D-EOサンプリングの真空チャンバ構造を検討し、黒田チームがビーム試験を行う。 3次元バンチ内電荷分布のリアルタイム再構築により、電子バンチ内の電荷分布の挙動を観察して、そのビーム物理を明らかにする。同時に、これらの知見をもとに、SPring-8のシステム(計測要素3個からなるトリプレット構造体)を、一体型構造にコンパクト化(結晶の放射線防護を考慮)し、エネルギー分散部に設置するための装置設計を進める。
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