研究課題/領域番号 |
26246047
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
泉井 一浩 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90314228)
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研究分担者 |
松本 充弘 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10229578)
西脇 眞二 京都大学, 工学研究科, 教授 (10346041)
山田 崇恭 京都大学, 工学研究科, 助教 (30598222)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 最適化 / 設計 / 熱電素子 / ナノ複合構造 |
研究実績の概要 |
熱電素子は熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換することのできる素子であり,素子内に電流を流すと熱の移動が発生し,逆に,熱電素子の異なる部分に温度差を与えると電流を得ることができる.このような特性を持つ熱電素子は,エネルギー変換技術の一つとして大いに注目を浴びており,よりエネルギー変換効率の高い熱電素子の開発を目指した研究が活発に行われている. 熱電素子材料のエネルギー変換効率を向上させるためには,ゼーベック係数と導電率が大きく,かつ,熱伝導率が小さくすることが理想である.しかし,このうち導電率と熱伝導率は両者とも材料内の自由電子の移動の振る舞い大きく依存する値であり,通常の金属では相互依存的特性を有しているため,導電率が高く,かつ,熱伝導率が小さい材料を開発することは非常に困難であると言われてきた.これに対して,熱電材料のナノ構造に着目し,半導体の異種の材料を効果的に並べて,超格子構造を持たせることで,フォノンの散乱を誘起し,熱伝導率のみを低下させることが可能であることが近年わかってきており,今後さらに適切なナノ構造を持った高効率な熱電材料の開発が期待されている.しかし,現状ではこのような新しい熱電素子の開発は試行錯誤のプロセスにより行われ,多大なコストがかかる状況であり,最適な材料の配置方法は未だに明らかにされていない状況である. 一方で,研究代表者らはこれまで,構造物の性能を抜本的に改善する方法として,トポロジー最適化技術の開発を行なってきた.この構造最適化の方法を熱電素子のナノ構造の最適設計に応用することが出来れば,性能を抜本的に向上させる素子材料を開発することが期待できる.そこで,このトポロジー最適化手法を熱電素子のナノ構造の設計に応用するための方法を開発し,数学的かつ力学的な観点から最適な構造を導出することで高効率な熱電素子を創り出すことを狙う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ボルツマン輸送方程式を対象とした感度解析法の開発にめどがついた.現在,数値解析アルゴリズムの並列化の検討を進め,トポロジー最適化の基礎的な枠組みが完成しつつある.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,一連のトポロジー最適化の性能を検証し,種々のパラメータの調整を行う.また,電子系を考慮した最適設計法への拡張についても検討をすすめる.
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