研究課題/領域番号 |
26247004
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
坂内 健一 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (90343201)
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研究分担者 |
山本 修司 慶應義塾大学, 理工学研究科, 講師 (20635370)
大坪 紀之 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60332566)
小林 真一 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80362226)
安田 正大 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90346065)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 代数学 / 整数論 / 数論幾何 / L関数の特殊値 / ポリログ |
研究実績の概要 |
平成26年度は、当初は普遍アーベル多様体上のポリログを引き戻して得られるHilbert modular多様体のEisenstein類の具体的記述を目指し、4月より共同研究者のGuido Kings氏と研究を開始し、4月に慶應義塾大学で、7月にドイツRegensburg大学で研究打ち合わせを行い、ドイツOberwolfach研究集会にも参加した。この研究集会で、ネコヴァー氏により、プレクティック cohomologyと呼ばれる新しい理論が発表された。この理論が真に有用であれば、分野全体に幅広い影響を及ぼす。特にHilbert modular多様体を扱っていることから、本プロジェクトへの影響も大きいと予測される。また、ネコヴァー氏等は高次元の場合に起こるコホモロジーの番号の問題を回避するアイディアを出しており、この分野の研究が大きく進展する可能性が出て来ている。この研究の動向を注視しつつその間、p進Eisenstein-Kronecker関数の構成に関する研究とp進シグマ関数の収束半径に関する論文の執筆を進め、その後投稿した。12月にネコヴァー-ショルの概説論文が公開されたのを受けて、2月。3が月に2回のプレクティックセミナーを企画して、プレクティックコホモロジーの研究会を開始した。その準備の過程で、プレクティックコホモロジーをHilbert modular多様体ではなく、カスプ上にある総実代数体上定義された乗法群のポリログを直接考える、というネコヴァー氏等とは別の切り口からの研究を推進するという新たな着想を得た。分担者である小林真一氏(東北大学)、安田正大氏(大阪大)などを含めた研究チームを構成し、目下その研究を推進中である。この間、分担者である山本氏、高井氏はEisenstein類の具体的記述の研究を進め、Eisenstein類を記述するのに用いられるある種のコホモロジー類の代数性を証明することに成功した。これと並行して、p進Fourier変換の論文を執筆し、近日投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高次元の場合のポリログを具体的に記述するというプロジェクトはそもそも非常に野心的なものであるが、それに対して、ネコバー・ショルのプレクティックの理論を用いてより簡単な場合に高次元のポリログを考察できるというアイディアを発見したことは、今後研究の幅を広げる上でとても有用な成果であり、研究の初年度としては、とても意義深いと思われる。よって、研究は概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ネコバー・ショルのプレクティックの理論を用いて乗法群のスタックの場合のポリログの研究を進めて行く予定である。
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